クリニックの売上の平均は?売り上げを上げるための方法を解説
新型コロナウイルス感染拡大により、全国的に医療業界の経営状態は厳しい傾向にあるなか、クリニックの売り上げをあげることは、経営を維持するためには必須です。この記事では、売り上げをあげるための具体的な方法や、コロナ禍における取り組みについて解説しています。
目次
クリニックの売上平均は?
厚生労働省の令和元年社会医療診療行為別統計の概況では、医科の入院の1件当たりの点数は54226.2点と前年に比べて2.2%増加しています。1日当たりの点数は3527.6点で、1.1%の増加です。
また、医科の入院外の1件当たりの点数は1377.1点で、前年に比べて18.0%の増加となり、1日あたりの点数は914.6点です。
診療報酬は点数を元に「1点=10円」として計算されるため、医科の入院の1件あたりの報酬542,262円、1日あたりの売り上げ平均は35,276円となります。
同じように入院外については1件当たり13,771円で、1日にすると9,146円です。
医科の入院において患者数が100人の場合、1日の売上は3,527,699円です。
そして、入院外の患者数100人の場合の1日の売上は914,699円となります。
これは令和元年(2019年)のデータなので、新型コロナウイルス感染拡大より以前のデータによるものです。
新型コロナウイルス感染拡大後は、受診控えやコロナ患者の受入による病院体制の悪化が原因で、さらに医療業界全体の経営は赤字に傾いています。受診控えやコロナ患者の受入が原因です。このため、現在の売上平均は令和元年のデータより下がっていることが予測されます。
開業医の年収は?
年収で比較すると、一般的に開業医の年収は勤務医より多い傾向にあります。
厚生労働省の「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査) 報告」によると、一般的な勤務医の平均給与年額が1,490万円、一方で、一般診療所の院長、つまり開業医の平均給与年額は2,763万円となっています。
クリニックの売り上げを上げるために必要なこと
クリニックの経営を成功に導くためには売り上げをあげる必要があります。売上は、患者数×診療単価×再来頻度×診療日数から算出されるため、この4つの要素のうち、最低でも1つを増やすことを目指しましょう。
ここでは、それぞれどのような方法で実現するかを解説していきます。
患者数を増やす
まずは患者数を増やすことが売り上げアップにつながるでしょう。多くの患者に来院してもらうためには、集客する必要があります。
効果的な集客のためには、自院がターゲットとする患者層にはどのような対策が有効かを検討し、実行する必要があります。
従来の方法だけでなく、インターネットを活用した集客も効果的でしょう。
広告などの施策を打つ
クリニックの認知度を上げることも、売り上げをあげるために必要です。
最も効果的なのは広告を打つことですが、一言で広告といっても、様々な内容や媒体があります。院前や駅に設置する看板、バス広告、新聞の折り込み、ポスティングチラシなど、従来から利用されてきた広告方法はもちろんのこと、現在ではインターネットの普及に伴い、病院やクリニック探しにインターネット検索を利用することも一般的になってきています。
自院の診療やターゲットの特徴に合わせて、ホームページを作成するなど、さまざまな広告を検討する必要があるでしょう。
患者目線の仕組みを作る
広告などで自院をプロモーションすることも重要ですが、患者にとってより便利な仕組みを作ることも、来院患者数を増やすためには重要です。
例えば、ホームページへの予約フォームや問い合わせフォームの設置です。
WEB予約ができるシステムを導入すると、患者さんは24時間いつでも予約をすることができます。スマートフォン1つで完結できるので、予約の手間はずいぶん簡略化されるでしょう。仕事や家事、学業で忙しく、電話予約の時間を確保できない方にはとても便利な仕組みです。ネットに詳しい若者世代の患者の集客にも役立つでしょう。
SNSなどで情報発信をする
スマートフォンの普及に伴い、現在はSNSでの情報発信が活発です。SNSは情報収集として便利なツールですが、さまざまな種類があり、ひとつひとつに特徴があります。匿名性が高いTwitter、実名登録が推奨されているFacebook、写真などの画像が活かされるInstagramなど、自院の特徴に合わせてそれぞれ活用すると良いでしょう。
ただし、SNSは双方向のコミュニケーションツールであることも忘れてはいけません。何らかの情報発信をすれば、いろんな反応があります。そのことを踏まえ、配信内容には細心の注意を払いましょう。
診療単価を上げる
自由診療の場合、クリニックごとに料金設定ができます。このため、診療単価を上げることも、売り上げアップにつながりますが、短絡的に値上げをしてしまうと、かえって患者さんは離れていってしまうでしょう。
現在の診療単価での利益率を確認し、医療材料費の価格が適正かを再検討する必要もあります。多角的に分析して、単価アップを慎重に検討しましょう。
請求漏れがないか確認する
基本的ですが、請求漏れがないかを丁寧に確認することも必要です。クリニックの損失につながらないよう、毎回の診療や治療では、請求漏れがないようにチェック体制を整えましょう。
報酬について、適正に請求するためには医事課の役割が大きいですが、請求漏れを防ぐためには、行った診療・治療をきちんと記録することや、スタッフ全体で意識することも大切です。
売上分析を行う
現時点での売上分析も重要です。売上が高くても利益率が低いままであれば、良い経営状態であるとはいえません。
利益率が低い場合はまず、医療材料費について検討してみましょう。同じような医療材料で現行のものより価格の安いものがあれば、そちらに変更することで利益率を高めることができます。
また、長年同じ医療卸業者と取引をしていると、価格交渉をしないままになっていることも多く、結果、相場よりも高額で購入していることがあるので注意が必要です。適正な価格で購入できるよう、価格交渉を試みましょう。
リピーターを増やす
新規患者だけでなく、リピーターの患者さんを増やすことも大切です。
そのためには、患者さんに対する診療や治療、ケアの質を担保することが大前提です。さらに、「患者さんの目を見て話す」「患者さんの訴えをしっかり聞く」など、患者さんへの姿勢も大切でしょう。そして、再診を促す仕組み作りも重要です。
再診の連絡をする
患者さんは自身の体調に変化を感じれば、自ら受診するでしょう。しかし、治療後の定期検診や、アフターフォローのための受診については、忘れたり、受診しない場合があります。症状がない場合は特に、受診しない傾向があるため、クリニック側から再診について連絡をすると、良いでしょう。
このような患者への細やかなサービスは、再診率を高める期待ができるでしょう。
再診がしやすい仕組み作りをする
受診の際、患者さんの多くが不満を抱くポイントとして、待ち時間の長さがあげられます。平成27年(2015年)に行われた「日本の医療に関する意識調査」でも、受けた医療に満足していない理由で一番多いのが待ち時間です。
この待ち時間を減らすために、システムを導入して再診しやすい仕組みを作ることができます。例えば再診受付システムや、電子カルテによる予約システムです。これらを導入することで再診時の受付の手間を省き、待ち時間を大幅に削減することができるでしょう。
コロナ禍での取り組みが明暗を分ける
近年の新型コロナウイルス感染拡大はクリニックの売り上げに大きく影響しています。受診控えが増え、コロナ患者を受け入れることによって、日本の医療業界全体の経営が厳しい状況です。
コロナ禍において経営を維持するためには、待ち時間を短縮して密を避けるなどの感染対策を徹底し、患者さんが少しでも安心して受診できるような取り組みが大切です。
オンライン診療などを取り入れる
オンライン診療は1997年からスタートしており、新型コロナウイルス感染症の流行により、利用頻度があがりました。令和4年(2022年)の「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的扱いについて」により初診からのオンライン診療も解禁されています。
オンライン診療を取り入れることで、コロナ感染が心配で受診を控えている方などの来院を増やすことができるでしょう。
予約システムの導入を検討する
感染症対策として重要なのは、待合室の密集状態を避けることです。患者さんの予約状態が適切に管理できていなければ、待ち時間は増える一方です。
予約システムには、待合状況と診察順がわかるものもあり、患者さん自身が時間を確認して来院できます。これによって待ち時間は短縮され、密を回避できるでしょう。
予約は空いている時間帯へ誘導されるので、曜日による混雑が解消され、来院者数を一定に保つこともできるでしょう。
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「MEDIBASE」は自由診療に特化した電子カルテシステムです。保険診療とは違った管理が必要な、自由診療の業務改善に役立ちます。
予約システムとの連携が可能で、空き状況が一目で確認できます。また、カレンダー画面内の予約枠から患者のカルテを開き、そのまま記入や閲覧ができるため、業務効率もアップするでしょう。
日々の収益推移の分析や、過去の売上チェック、新患率の算出など、様々な機能が備わっているので、クリニックの経営に役立てることができます。
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