電子カルテ実技検定試験とは?勉強法や資格が活かせる仕事について
医療のIT化が加速度的に進んでいるなか、医療機関において電子カルテは欠かせない基幹システムとなっています。そのため、転職やスキルアップのために「電子カルテ実技検定試験」の資格取得を目指している方も多いのではないでしょうか。
今回は電子カルテ実技検定試験の概要や勉強法、当該資格が活かせる職種などについて解説します。
これから医療従事者を目指す方や、医療業界へ転職をする方にとって非常に有益な内容になりますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
電子カルテのメリット電子カルテ実技検定試験とは?
電子カルテ実技検定試験とは、電子カルテシステムの操作方法を習得する検定のことです。検定で出題される問題は、医師が診療時に行う患者とのやり取りをシミュレーション化した問題がベースとなっています。
また、検定に合格することで、医師事務作業補助技能認定の条件を1つ満たすことができます。
医療機関への就職時や転職時に、自己PRとしてアピールする際に活用できる検定となっています。そのため、近年では受験者数が増加傾向にあるのです。
受験概要
受験概要については、以下の通りです。
願書受付期間 |
4月中旬から5月中旬、もしくは9月中旬から10月中旬 |
試験の回数 |
年に2回(6月中旬と11月中旬) |
合格発表日 |
試験終了から約1ヶ月半後 |
試験形式 |
実技試験のみ |
試験内容の詳細 |
医療秘書・事務の実技や医療に関する知識、医療機関の組織や医療法規等に関する問題が出題される |
受験料 |
一般:6,300円 医療秘書教育全国協議会の会員の場合は5,300円 |
試験会場
試験会場は全国各地にあります。ですが、一般の方と医療秘書教育全国協議会の会員の方では会場が異なりますので注意が必要です。
一般の方の場合:一般社団法人 医療秘書教育全国協議会に問合せをする
会員の方の場合:全国各地の会員校で受験
受験資格は特にありませんので、誰でも受験することが可能になっています。
会員の方であれば、自身が属している会員校での受験が可能なので、会員の方のほうが比較的手軽に受験することが可能です。
問題例
試験問題例のイメージとしては以下が挙げられます。
- 電子保存の3条件の1つである「真正性の確保」に沿った電子カルテの入力操作が可能であるか
- 必要データを電子カルテ画面へ反映させることができるか
- SOAP形式での入力業務ができるか
- シェーマやテンプレートを上手く活用しながら業務ができるか
- 決められた医療用のマスタ使用することによって、病名情報の登録業務ができるか
- 診療報酬点数算定を考慮した入力対応ができるか
- 医療機関における一連のオーダリング業務ができるか
参考:電子カルテ実技検定試験 審査基準 医療秘書教育全国協議会
難易度・合格率
試験の合格率は約60%と言われていますので、比較的取りやすい資格ではあります。市販の参考書を1冊買い、しっかり勉強していけば、合格は可能でしょう。また、受験の際、ノート・参考書の持ち込みは自由ですので、暗記をする必要もありません。
独学以外では、通信講座などで授業を受けることでも十分に受験対策が可能になります。
電子カルテ実技検定試験に必要な勉強とは
電子カルテは病院の核となるシステムですので、単に操作方法だけを習得すれば良いものではありません。診療報酬算定条件を把握した上での適切な操作や、院内ルーチン業務に基づいた操作を実施しなければなりません。
そのため、日々の院内ルーチン業務をしっかり理解した上で電子カルテ実技検定試験に臨む必要があると言えるでしょう。
電子カルテ実技検定試験の勉強法には、過去問題集を購入し、独学で勉強する方法と、講座・スクールに通う方法が有ります。1つずつ詳しく解説していきます。
過去問題集を購入する
電子カルテ実技検定試験の専門の参考書などは販売されていません。過去問題集は医療秘書教育全国協議会に問い合わせることによって購入が可能です。
そのほか、電子カルテ活用の書籍や医療事務職の書籍なども参考になるでしょう。
講座・スクールで勉強する
電子カルテ実技検定試験に合格するために、講座・スクールを受講し、試験対策をしていくこともおすすめです。特に最短ルートで効率的に学習していきたい方には、非常に価値があると言えるでしょう。
「シカトル」や「資格の大原」といった通信講座を受けることも受験対策として有効でしょう。受験対策をしっかり行いたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
電子カルテ実技検定試験のニーズは高まっている
電子カルテ実技検定試験のニーズは年々高まっています。その背景には、医療機関における電子カルテ導入件数の加速が起因しているのです。
今や医療機関における電子カルテの導入は当たり前になってきました。医療従事者の業務効率向上や医療の質向上を目的として電子カルテを導入しているケースが多くなっているのです。
医療のIT化推進が進んでいるため
電子カルテ実技検定試験のニーズが高まっている背景には、医療のIT化推進が進んでいることが起因しています。
厚生労働省は令和2年度に「電子カルテ情報等の標準化について」の資料を公表しています。本内容では、令和4年度後半から令和6年度末まで「医療情報化支援基金による支援」を行う予定であると発表しています。
このことから、国全体が医療のIT化を目指し、医療機関における電子カルテ導入を推進していることがわかります。そのため、医療機関における電子カルテ導入件数が年々増加しているのです。これに伴い、電子カルテ実技検定試験の受験者数も増加の一途をたどっています。
参考:厚生労働省(議題1)電子カルテ情報等の標準化について
電子カルテ実技検定試験の資格が活かせる仕事とは?
電子カルテ実技検定試験の資格が活かせる仕事はいくつかあります。今回ご紹介する仕事は、医療のIT化が推進されている現代において、市場価値の高い職種です。
今回ご紹介する職種は3つです。いずれの職種においても、電子カルテ実技検定試験の資格で得た知見を活用することで、医療に精通したプロフェッショナルな人材になれます。
今後の進路に迷っている方などは参考にしてみてください。
医師事務作業補助者
医師事務作業補助者は医師が行う事務作業の負担軽減を目的として作られた職種です。
業務内容としては、医師が行う診断書の作成代行やカンファレンス準備、診察記録入力などの業務を行っています。
令和4年度に改定された診療報酬改定により、以前寄り医療事務作業補助者の仕事はより注目されるようになりました。
加算届出の対象となっている医師事務作業補助者の需要は今後ますます増え続けていくでしょう。
受付業務などを行う医療事務
医療事務はその専門性の高さから院内のレセプト業務を行う重要な役割を担っています。
特に電子カルテシステムの場合、医事会計システムと連動した機能を有している場合が多いため、今後電子カルテ導入が加速していく中でますます医療事務の活躍の場が増えていくことでしょう。
医療に関する臨床知識や診療報酬算定、クラーク業務や会計業務等の専門知識を有していれば、医療事務としての活躍が期待されます。
医師・看護師も取得しておくと理解を深められる
医師、看護師にとっても電子カルテに精通しておくことは非常に有意義であると言えます。
医師であれば、カルテに診療記録等を記載しますが、その際に医師法に基づいて規定通りカルテに記載できるかという点が非常に重要になってくるのです。
また看護師であれば看護記録を記載する際にも電子カルテ上での記載が求められる場合もあります。
このように、現場の医療従事者も電子カルテ関連業務の知識を習得しておくことで、医療のIT化に対応できる人材となれるでしょう。
まとめ
今回は、電子カルテ実技検定試験の概要や勉強法、当該資格が活かせる仕事について解説しました。電子カルテに関連する検定試験とはいえ、その内容は多岐に渡っており、幅広い知識が求められます。それだけに本資格を習得することで、医療事務のみならず、現場の医師や看護師の方々の業務に活かせるはずです。