電子カルテ活用の課題とは?今後の展望と導入するメリット

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情報の共有やオンライン予約など他システムとの連携が簡単にできる電子カルテは、現在約6割の医療機関で導入されています。他分野でも電子化は進んでおり、医療分野でも今後さらに電子化が進むことが予想されます。しかし電子カルテには動作スピードの遅さや移行の手間などいくつかの課題があるのも現状です。

この記事では電子カルテ活用の課題とメリット、今後の展望について紹介しています。

電子カルテ活用の課題とは?

電子カルテ活用には主に以下の5つの課題が挙げられます。

  • 動作スピードが遅い
  • 費用対効果
  • 移行の手間がかかる
  • IT専任担当者の不在
  • システムに合わせた業務の変更が必要

電子カルテ導入前の方もこのような課題でお悩みではないでしょうか。ここではこの5つの課題について詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

動作スピードが遅い

電子カルテ導入の課題として動作スピードの遅さが挙げられます。導入後時間経過と共にシステムのバージョンアップや検査データ・画像枚数の増加でデータ容量が増えること、システム自体の老朽化が原因とされています。

動作スピードが遅くなると患者は待ち時間が増え、医療機関は1日の診療件数の減少やスタッフの労働時間の増加というデメリットが発生するのです。

解決策として高パフォーマンス機器の再購入やサーバーのアップグレードがありますが、いずれもコストが高くなってしまいます。

費用対効果

電子カルテ導入の課題を調査すると、コスト面で悩むという結果が多く出ています。従来の電子カルテと言えば医療機関にサーバーを構築し、院内で管理するオンプレミス型でした。オンプレミス型はサーバー設置のための機器購入や工事費用でコストがかさみます。このことから電子カルテ導入に踏み切れない医療機関もあるでしょう。

現在主な電子カルテとしてオンプレミス型と、ネット環境とパソコンがあれば電子カルテが導入できるクラウド型があります。どちらもメリット・デメリットがありますので、費用対効果を考え自身の医療機関に合った電子カルテを導入することが重要です。

移行の手間がかかる

電子カルテ移行の課題として依然残っているのは、現在扱っている診療情報の移行作業に手間がかかることです。全ての情報を一度に移行するのは時間がかかり、スタッフも運用に慣れないので診療に支障が出る可能性もあります。

移行方法としては、電子カルテ導入後は一定期間紙カルテも併用することや診療録や看護記録のみは紙カルテを使用する期間を設けることが挙げられます。

事前にスタッフ研修を実施してシステム移行に慣れておくこと、可能なデータはスキャンして電子カルテに取り込んでおくことも対策のひとつです。

IT専任担当者の不在

電子カルテ導入後はオンプレミス型では院内で管理・運営するのでSEが常駐している所もあるでしょう。しかしIT専任担当者は不在で、不具合時にはシステム会社に連絡する流れになっている医療機関が多いのが現状です。相談できたとしても医療知識が豊富なSEは少なく、不具合を即座に理解してくれるのか不安が残ります。IT専任担当者に医療知識が少ない可能性があることも、電子カルテを円滑に活用するためには課題となっています。

システムに合わせた業務の変更が必要

電子カルテ導入時のデータ移行や設置工事は、コストがかかっても外注が可能です。しかし導入による業務変更は外注が難しくスタッフ間で解決しなければならない問題になります。他にも受付方法や診療手順の変更があれば、患者に事前に知らせておく必要もあります。

電子カルテ導入により様々な業務の円滑化が図れますが、慣れないうちは業務が煩雑になりがちです。事前にしっかりとしたスタッフ研修やシステム変更に合わせた業務改善が必要となります。

さまざまな課題が電子カルテ普及のネックになっている

上記の課題によって、導入のメリットよりもデメリットが上回ると考えられているためか、電子カルテの普及がなかなか進んでいない現状があります。

2020年の調査では医療機関の電子カルテ普及率は57.2%に留まっています。2017年の調査では普及率46.7%であり、3年間で10%以上増加していることは分かりますが電子化の進む現代においてはまだまだ少ない状況にあります。

 

参考:電子カルテシステム等の普及状況の推移

電子カルテの普及は今後広がっていく

電子カルテ導入には様々な課題が残っているのが現状です。しかしながら先に解説したように徐々に普及率は上がっています。

電子カルテにもたくさんの種類があり選択肢が広がっているので、自身の医療機関の規模や特性に合ったものを選びやすくなっています。昨今の技術革新や新たな開発により課題は改善傾向にあり、今後更に電子カルテの普及は進んでいくでしょう。

厚生労働省では電子カルテの普及を支援する方針がある

現在厚生労働省では厚生労働省が定める標準規格の電子カルテを導入している医療機関に対し、電子カルテ導入推進策として支援する方針があります。この方針は医療情報化支援基金で、電子カルテ導入やアップグレードにかかる費用の一部を負担してくれる仕組みです。

標準規格の電子カルテ導入により他医療機関との情報共有がしやすく、必要な情報がいつでも利用可能になるのです。地域連携を活発にする目的もあり、国も標準規格の電子カルテ導入を推進しています。

オンライン診療の普及などにより更なるシステム化は進む見込み

数年前から新型コロナウイルス感染症が流行し、一部医療機関ではオンライン診療の取り組みを開始しています。

2020年4月には全体の9.7%の10,812医療機関がオンライン診療に取り組んでいましたが、2021年4月には全体の15.2%の16,843医療機関がオンライン診療を導入していることが分かります。

参考:総務省|令和3年版 情報通信白書|データで見るオンライン診療の状況

ウィズコロナ時代になり今後も可能な限りでのオンライン診療は普及していくと考えられ、電子カルテ導入は不可欠です。今後はオンライン診療も含めた電子カルテのシステム化はさらに進んでいくでしょう。

電子カルテを導入するメリット

電子カルテを導入するメリットはいくつかあります。

  • 情報共有が円滑になる
  • 診療の質向上につながる
  • クラウド型ならコスト負担も削減できる
  • 予約システムなど他システムとの連携もできる
  • カルテの保管場所が不要になる

ここでは以上の5つをメリットとして挙げて詳しく説明しています。電子カルテを導入するメリットを詳しく知りたい方はご覧ください。

情報共有が円滑になる

患者一人に対して一つのカルテしかない紙カルテと違い、電子カルテはパソコンがあれば同時に何人ものスタッフが一人の患者情報の閲覧が可能です。診察した内容を医師が記載すると離れた場所にいる他スタッフもすぐに診療内容が分かり、処置や患者指導に役立ちます。

紙カルテが回ってこないので次の業務に移れないということが電子カルテにはありません。

また画面を見れば指示内容がすぐに分かるので、伝達ミスなどインシデントのリスクも減少します。

こうして情報共有がスムーズに行えることは、電子カルテ導入の大きなメリットと言えます。

診療の質向上につながる

初診患者で考えてみると、まずは受付で患者情報や受診理由を聞き更に詳しく問診します。紙カルテであればこの問診内容を整理しカルテ作成の手間がかかりますが、電子カルテは患者情報や問診内容を入力すると即座に医師や看護師に情報共有できます。患者にとっても問診記入をネットのシステム上で自宅で行う等時間短縮が可能です。診察後も診察内容を入力すると医療費が自動で計算されるので会計までの時間も短縮され管理業務が軽減できます。

その結果、患者の在院時間の短縮や診療自体に多くの時間が割けるなど、情報共有が迅速になり診療の質も向上すると言えるでしょう。

クラウド型ならコスト負担も削減できる

電子カルテ導入の課題としてコスト面を挙げる医療機関が多いことを先に解説しました。初期費用などコストがかかるオンプレミス型の電子カルテと比較すると、一般的にはクラウド型の電子カルテの方が初期費用が抑えられます。クラウド型の電子カルテであれば月額料金5万円以下の額で設定されているものも多く、費用をかけずに電子カルテの導入が可能です。コストだけでなくクラウド型はネット環境とパソコンがあれば導入できるので、初期工事やSEなどの人員確保が必要なオンプレミス型に比べると導入までの期間も短縮できます。

予約システムなど他システムとの連携もできる

紙カルテの医療機関での診療予約は、来院時に次回予約するか電話予約になります。そして予約情報を管理するスタッフも必要です。電子カルテであれば予約システムと電子カルテの連携が可能で、システム内で予約管理してくれるのでスタッフも必要ありません。クラウド型の電子カルテであれば予約システムのほかにLINEで簡単に予約できる方法もあり、患者が使いやすくなっています。受付もタッチパネルで簡単に操作可能で受付対応業務の負担を軽減できます。

カルテの保管場所が不要になる

厚生労働省では保険医療機関及び保険医療養担当規則として「保険医療機関は、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録をその完結の日から三年間保存しなければならない。ただし、患者の診療録にあつては、その完結の日から五年間とする。」と定めています。

引用:・保険医療機関及び保険医療養担当規則(◆昭和32年04月30日厚生省令第15号)

5年間分のカルテを全患者分保管するとなれば、カルテ保管庫が必要であり、厳重な管理が必要です。開院から時間が経つにつれて、別の場所にカルテ保管庫を借りる必要も出てくるでしょう。

電子カルテであれば数年分の情報量もサーバーに保管することができるので、保管場所が不要でセキュリティも整っています。

電子カルテの導入にお悩みならぜひ一度ご相談ください

電子カルテ導入にはいくつかの課題がありますが、業務の効率化や診療の質向上といったメリットもあります。

「MEDIBASE」は医師の業務を効率化し、経営を支援する自由診療に特化したクラウド型電子カルテです。クラウド型は月額料金も安価で導入時の初期費用が抑えられ、バージョンアップやバックアップの手間もかかりません。またサーバーは24時間体制で有人監視しているためセキュリティ面が不安な方も安心して使用できます。

電子カルテの導入にお悩みであれば、ぜひ一度「MEDIBASE」にご相談ください。