電子カルテと紙カルテが混在する理由とは?スムーズな移行ポイントもご紹介
電子カルテの導入を検討する際、膨大な紙カルテをどのように扱えばよいか疑問に思うことはないでしょうか。全てを電子化するには量が多く課題を感じることもあるでしょう。
実は紙カルテと電子カルテを混在しているクリニックは多くあります。
この記事ではその理由と、電子カルテへのスムーズな移行のためのポイントを解説しています。
目次
電子カルテと紙カルテが混在していてもいい?
電子カルテを新規導入する医療機関では、これまで運営してきた紙カルテをどのように処理するか、悩んでいるのではないでしょうか。
内容によっては、紙カルテのまま残しておきたいという書類があるかもしれません。
実は電子カルテと紙カルテは混在していても問題なく、併用しているクリニックもあります。
移行時に、紙カルテのデータを全て電子化することもできますが、業務負担が大きくなってしまうため、併用を選ぶクリニックも多いのです。
過去カルテはスキャンせず、新規患者から電子カルテにするクリニックも多い
電子カルテを導入した時、過去の紙カルテをスキャンして電子データにすることができます。
ただし電子化したデータに原本性を持たせるためには、電子署名とタイムスタンプの付与が必要で手間がかかります。
診療期間が長いほど紙カルテの量は膨大なので、業務負担は大きく全てを電子化するのは現実的ではありません。外部委託するとコストがかかるのも難点です。
このため、過去のカルテはスキャンせず、新規患者さんから電子カルテにするクリニックが多いのです。
全て電子化する場合にはガイドラインに従う必要がある
紙カルテを全て電子化する場合は、厚生労働省から発出されている、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版」に従う必要があります。
電子化の実施に関する実施計画書を立て、患者さんには院内掲示などで情報提供をして同意を得なければなりません。
スキャナによる読み取り作業後は、間違いがないか監査の実施が求められています。
また画質の担保のため「300dpi、RGB 各 8 ビット以上」の精度のスキャナを使用します。
電子カルテと紙カルテが混在する理由
カルテを電子化するには、クリニックの業務負担が大きく、あえて混在している場合があります。
その他にも、次の3つのような理由で電子カルテと紙カルテが混在しています。
- 電子カルテに移行の途中
- 医師によってカルテの取り方が違う
- 一部アナログにした方が効率的
このようにクリニックの事情に合わせて併用できるのです。
電子カルテに移行の途中であるため
紙カルテから電子カルテに移行する途中、2つが混在していることがあります。
移行には次のようなパターンが考えられます。
・新規患者は最初から電子カルテに記録し、再診患者さんは過去のデータは紙カルテのまま、電子カルテ導入後は電子カルテに記録
・再診患者さんの紙カルテ全てをスキャンし、電子カルテに一元化する。長期間来院の無い保管中の患者カルテは紙カルテのまま保管
このように、クリニックの事情に合わせて最適な方法で移行を進めていきます。
医師によってカルテの取り方が違うため
メリットが多い電子カルテですが、中にはパソコン操作が苦手で、紙カルテの使用を継続したい医師もいます。同じクリニック内でも医師によってカルテの取り方が違うといった状況が生じ、電子カルテと紙カルテが混在するのです。
この場合は、その都度電子署名とタイムスタンプを付与して、電子化することでスキャン後のデータに原本性を持たせることができます。
運用は2つのカルテが混在していますが、データ管理は電子カルテに一元化できます。
一部をアナログにした方が効率的なため
情報共有がスムーズ、保管スペースが不要など、電子カルテには業務を効率化させるメリットが多くあります。一方で、一部をアナログにした方が効率的な場合もあるようです。
例えば、患者さんのちょっとしたエピソードを、メモ程度に残しておきたい時は紙ベースが便利です。
また、看護師さんの勤務交代時の申し送りも、全患者さんの情報を一覧にして見やすい紙ベースで運用していることがあります。内服薬の管理も、処方箋を印刷してチェックする方が確認しやすいようです。
スキャンした紙カルテの取り扱いはどうなる?
紙カルテのデータをスキャンして電子カルテ内に取り込んだあと、残った紙カルテは破棄できます。
ただし、適切な処理を施して電子化する必要があり、破棄に関しても定められた方法を守らなければなりません。
また、紙カルテを残しておくことも可能ですが、保管スペースが必要なので、自院の状況を踏まえて決めていくと良いでしょう。
電子署名・タイムスタンプを付与すれば紙カルテは破棄可能
蓄積された紙カルテ、その都度発生する同意書などの紙ベースの書類をスキャンして電子化する場合は、電子署名・タイムスタンプを付与しなければなりません。
これによって、スキャンしたデータに元の紙カルテと同等の原本性を保持させることができます。
そして、不要になった紙カルテは、院内でシュレッダー処理するか、機密文書処理業者に委託して破棄します。
紙カルテは多くの個人情報が記載されているため、万全のセキュリティ対策のもと作業を進めましょう。
参照用として利用する場合もある
紙カルテを電子化せず、参照用として利用することもできます。
ガイドラインには、紙カルテの電子化について「電子情報と紙等の情報が混在することで、運用上著しく障害がある場合等に限定すべきである。」と言及されています。
つまり、過去の情報は紙カルテを参照し、新しい情報は電子カルテに入力する併用方法で支障がない場合、過去の紙カルテの電子化は必要ないということです。
スキャンする作業や電子署名やタイムスタンプを付与する手間を省け、効率的です。
スムーズに移行するには準備が必要
紙カルテから電子カルテへの移行をスムーズにするためには、事前の準備が肝心です。
とくに紙カルテと併用する場合は、混乱を招かないように体制を整えておく必要があります。
事前に電子カルテベンダーへの相談を行い、電子カルテ運用のルール作成などを進めておきましょう。
また、移行時にスタッフの協力を得られるような取り組みも重要です。
併用したい場合は電子カルテベンダーに相談する
電子カルテへの移行時、紙カルテの併用を検討している場合は、電子カルテベンダーに事前に相談することがおすすめです。
電子カルテベンダーは、電子カルテ移行時のサポート体制を整えており、さまざまなパターンの移行をサポートしています。それぞれのクリニックにマッチする、紙カルテの併用方法を提案してくれるでしょう。
電子カルテベンダーには、自院の診療の特徴や業務実態などを伝え、より効率的な移行方法を選択していく必要があります。
電子カルテについてのルールを定める
電子カルテの運用が始まると、これまではなかった準備や管理が必要になります。
パソコンの立ち上げ、インターネットへの接続確認、アプリケーションへのログインなど、診療開始時間までには確実に済ませておかねばなりません。
遅れてしまうと、診療が遅延し患者さんに迷惑をかけることになるため、いつ誰が行うのかルールを定めておきましょう。
紙カルテの併用をする場合も、併用方法に関するルールを明確に決め、スタッフの混乱を防ぎましょう。
事前の操作確認の研修やマニュアル作成も必要
電子カルテの運用を成功させるには、スタッフの協力が必要です。
スタッフが電子カルテの操作を理解して、スムーズに使えるような体制を整えることが重要です。
多くの電子カルテベンダーは運用開始前に操作確認の研修をサポートしています。スタッフが操作確認できるよう、早めにベンダーに依頼しておきしましょう。
しかし、事前の操作確認をするだけで、電子カルテの全てを理解できるわけではありません。いつでも操作方法を確認できるためのマニュアル作成が必要です。
紙カルテから電子カルテに移行した事例
MEDIBASEで紙カルテから電子カルテへの移行をサポートさせていただいたメンズクリニック様の事例をご紹介します。
もともと、紙カルテを運用されていましたが、「紙カルテの運搬の手間をなくしたい、カルテ庫をなくしたい、ペーパーレス化したい」という想いから、電子カルテの導入を決意されました。
導入はスムーズに進み、運用後も当初の目標を達成できたとご満足いただいています。
紙カルテとの併用や運用方法についてはご相談ください
株式会社メディベースでは、自由診療に特化したクラウド型の電子カルテ「MEDIBASE」を提供しております。
電子カルテの導入時の、紙カルテの併用や運用方法について、クリニック様の状況や課題をヒアリングしながら、マッチする移行方法をご提案しサポートいたします。
また契約後には、患者登録からカルテの記入、お会計など一通りの操作説明をさせていただきます。
無料のデモで機能をご体験いただけますので、ぜひ一度ご相談ください。