医療業界は電子カルテでDX推進できる?DXの現状と課題

  • HOME
  • ブログ
  • 医療業界は電子カルテでDX推進できる?DXの現状と課題

これからますます少子高齢化が深刻となる日本において、今後の医療体制を考えていくことは非常に重要です。この対策の一つとして医療分野のDX推進が挙げられます。

近頃、様々な媒体でDXという言葉を目にすることも多くなってきましたが、医療業界のDX推進によって何が起きるのかをご存じない方も多いと思います。

今回の記事では、医療業界においてのDXについてやDXの現状と課題についてご紹介していきます。また、医療現場でのDXに最適なツールもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

医療現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

医療現場のDXがどういったものかを知るために、まずは、DXとはそもそもどういったものなのかをお伝えしていきます。また、混同しやすいDXとデジタル化の違いについても説明します。

そもそもDXとは?

DXとは「Digital Transformation」の略語で、直訳すると「デジタル変革」という意味になります。DXは、最新のITツールやデジタル技術を活用して、人々の生活をより豊かにする取り組みを指します。IT技術の急速な進歩によりビジネス環境が激変していく中で、業界や事業者を問わず、企業が今後も成長・存続していくためにはDXの推進が欠かせなくなっています。

DXとデジタル化の違い

DXとデジタル化は混同しやすいですが、両者は実施する目的が異なります。

デジタル化は、業務負担の軽減や作業の効率化により、生産性をアップさせることを目的に行われます。一方、DXの推進は最新のITツールやデジタル技術を活用して、人々の生活をより豊かにする取り組みの推進です。

つまり、デジタル化はDX推進の手段の一つに過ぎません。両者の違いを理解しておらず、DXの推進が上手くいっていない例も見られています。両者の違いを理解した上でDXを推進していく必要があります。

医療現場におけるDXの現状と課題

日本の医療現場のDX推進は他の一般的な業界からすると遅れていると言わざるを得ません。2020年に感染拡大した新型コロナウイルスによる影響により、医療現場の現状と課題を世間に知らしめる結果となりました。

ここからは

  • 現場のITリテラシーの低さ
  • 人手不足
  • コストがかかる

といったことを踏まえて、医療現場におけるDXの現状と課題をお伝えしていきます。

現場のITリテラシーの低さ

医療スタッフは医療のプロであり医療については詳しいですが、IT分野に疎い方も多いです。医療現場のDXの推進は、ITリテラシーが低い医療スタッフでも使いこなせるように進めていく必要があります。例え優秀な医療スタッフであっても、DXの推進についていけず、貴重な人材が離職へ追い込まれる可能性もあります。

誰にでも直感的にわかりやすいUX/UIやどの程度業務が効率化されるのかの説明等医療スタッフが使いこなせるように考慮の上で推進していかなければなりません。

人手不足

内閣府の高齢化の現状と将来像によると、2019年の高齢化率は28.4%でしたが、2036年には33.3%とますます高齢化が進み、医療や福祉スタッフの需要はさらに増すと考えられています。そのため、医療機関の業務効率化を実現して人手不足をカバーできるようDXを推進する必要がありますが、DXを推進するためのIT人材も不足しているのです。多くの病院が、DXを推進できない理由としてIT人材不足を挙げています。DXの推進には、IT人材の育成やDX導入に時間をかけることが必要になります。

出典:1 高齢化の現状と将来像|令和2年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府

コストがかかる

2019 年度 病院経営定期調査 によると、2018年度の医業利益からみる赤字病院の割合は55.3%と高く、経営状況がよい医療機関はそう多くありません。DXを推進するためには、相応のコストがかかるため及び腰になる経営者も少なくはないでしょう。しかし、DXが推進されることにより、業務の効率化やペーパーレス化、予約や問診のシステム化等、コスト削減や患者様の満足度上昇に繋がり、結果的に経営状況がよくなることも予想できます。初期コストは掛かりますが、将来も踏まえてDXの推進を考えていく必要があります。

出典:一般社団法人 日本病院会病院経営定期調査報告

医療現場におけるDXとは

医療現場におけるDXでの取り組みとメリットは以下の通りです。

  • 電子カルテによる事務作業の効率化
  • オンライン診療に対応することで集患につながる
  • オンライン問診票で感染症対策になる

それぞれ詳しく解説していきます。

電子カルテによる事務作業の効率化

カルテの作成は医師法により作成が義務付けられています。カルテ作成を電子カルテで行うことで事務作業が効率化され、様々なメリットがあります。

電子カルテでは、アクセス可能な場所であればどこからでもデータ参照や共有を行えます。例えば、病棟や手術室、外来とどこからでもアクセスできるため、カルテの記録や予約作業、治療等が紙カルテと比べて効率的に実施できます。作業が効率化することで患者様の待ち時間の減少や満足度の向上にも繋がるでしょう。

また、カルテの保存期間は5年間と医師法で決まっていますが、電子カルテであれば保存場所に困りませんし、検索も容易です。

オンライン診療に対応することで集患につながる

最近ではオンライン診療も普及してきています。こちらもDXの推進により実施できるようになったことの一つです。オンライン診療とは、スマートフォンやパソコン等を介して、医師に直接会わずに診察や薬の処方を受けられる診療形式です。

今までであれば、病院に行くことのできない高齢者などは医師に訪問してもらうか、誰かに病院まで連れて行ってもらい受診しなければなりませんでした。

オンライン診療が普及することで、医師の移動時間や患者様の負担を減らすことができます。また、外出する必要がなくなるため感染の心配がありません。

オンライン問診票で感染症対策になる

オンライン問診票とは、これまで紙や口頭で実施していた問診をWEB上で患者様に入力していただくものです。これにより、問診票をスキャンしたり、電子カルテに転記するといった作業がなくなります。

また、オンライン問診票にすることで来院前に問診票を記載してもらえます。そのため、院内での問診のやりとりによる接触や患者様の滞在時間が減少し、感染リスクを軽減できます。

医療業界におけるDXのメリット

これまでにお伝えしてきた通り、医療業界においてもDXによって様々なことが実現可能になってきています。そして、DXによって以下のようなメリットが医療業界にもたらされます。

  • 業務効率化
  • データ連携での利便性の向上
  • BCP対策の強化

それぞれ説明していきます。

業務効率化

前述した電子カルテやオンライン診療、オンライン問診の導入などのDX推進で業務の効率化ができます。

例えば

  • ペーパーレス化による事務作業の軽減
  • 書類保管コスト削減
  • 予約や問診の仕組み化
  • 患者様や医療者の移動時間の削減
  • 患者様の待ち時間の軽減

等があり、業務の効率化により人員不足の解消やこれまでは人員不足でできなかったことができるようになります。

データ連携での利便性の向上

 

医療現場でのDX推進でデータ連携での利便性が向上するため、全国の医療機関のカルテやレセプトをまとめた医療ビックデータを活用できるようになります。前内閣委員会調査室 長谷氏の医療ビッグデータの利活用に向けた法整備によると、医療ビックデータを活用すれば、「治療の効果や効率性などに関する大規模な研究を通じて、医療者が個々の患者の背景や病状等を踏まえて最適な医療の提供が可能になる」等、様々な恩恵が受けられるとされています。

ただし、医療データには患者様の個人情報が含まれているため、取り扱いやセキュリティには注意する必要があります。

BCP対策の強化

BCPとはBusiness Continuity Plan:事業継続計画の略で、災害等の緊急事態時の被害を最小限に抑え、対応できるように対策や方法をまとめた計画になります。災害時に医療現場が機能しないという事態は避けなければなりません。そのため、BCPを綿密に立てて緊急事態に機能できるように想定しておきましょう。

DXが推進された医療現場であれば、インターネットやバックアップを活用することで、医療活動の比較的スムーズな再開が期待できます。

医療現場でのDXに最適なツール

医療現場のDXを効率よく推進するために最適なITツールとして以下の4つを取り上げて説明していきます。

  • 電子カルテ
  • 医療情報システム
  • RPA
  • 予約システム

 

電子カルテ

今回の記事でも度々登場している電子カルテは、医療現場のDX推進にはなくてはならないITツールといえます。

まずは、電子カルテで情報をデジタル化して患者様の医療データを蓄積・管理することが、DX推進の始めの一歩といえます。現在は、心電図の波形データや、CT、レントゲン等の画像データも記録とともに残すことができ活用しやすくなっています。

医療情報システム

医療情報システムとは、医療に関連した各種の情報をコンピュータ等を活用してシステム化したものを指します。医療システムには以下のような様々な形があります。

医療情報システム 概要
電子カルテ 情報をデジタル化して患者様の医療データを蓄積・管理
レセプトコンピュータシステム 診療報酬明細書である「レセプト」を効率良く作成
オーダリングシステム 医師からの検査や処方指示を電子化して管理
医療用画像管理システム 画像撮影装置で撮影した画像をネットワークを介して受信・管理・保管

 

これらは医療情報システムの一例ですが、様々な医療情報システムを活用することで、医療現場の作業を効率化することができます。

RPA

RPAとはRobotic Process Automationの略で、直訳するとロボットによるプロセスの自動化となります。RPAの場合、定型業務だけを自動化することができます。医療現場では医療スタッフも多くの事務作業を課されています。この事務作業を自動化できれば、医療スタッフの負担の軽減や医療スタッフにしかできない専門的な仕事に時間を割くことができます。

また、RPAであれば夜間を問わず24時間365日働き続けることができるため、24時間の稼働を求められる医療現場において最適です。

予約システム

最近では、感染予防の観点から待合室を利用する人数を制限するために、予約システムを導入する医療機関も多くなっています。インターネットを利用した予約システムを導入することで、今まで電話や窓口で行われていた予約やキャンセルの受付等の業務を軽減できます。また、スタッフ側のメリットだけでなく、患者様側にも「待ち時間が短くなった」「予約がしやすい」等のメリットがあるため、来院患者の増加が期待できます。

医療現場におけるDX推進なら電子カルテの導入がおすすめ

本記事では医療現場におけるDXの現状と課題についてお伝えしてきました。

DX推進による、医療現場の業務軽減や患者様の来院増加の期待等のメリットを理解していただけたのではないでしょうか。

記事内でもお伝えしました通り、DXの推進に欠かせないのが電子カルテの導入です。中でも「MEDIBASE」は、予約システムとの連携が可能な自由診療クリニック特化型の電子カルテです。スタッフの業務改善に役立つ機能を多く有していますので、電子カルテ未導入のクリニック担当者様はぜひご検討ください。