紙カルテの大変なところ・よくあるデメリットについて

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「紙カルテは大変」。開業後、年数が経つにつれ、そう感じ始めている医師、看護師の方は多いのではないでしょうか。

紙カルテは低コストなので魅力的です。しかし、徐々にカルテの保管場所の確保や、字が読みにくかったりなどの問題が発生し、対策に頭を抱えているケースもあるでしょう。

そこで、この記事では紙カルテの大変なところやデメリット、紙カルテの課題を克服できる電子カルテについて解説しています。記事の最後には、診療所やクリニックでも導入しやすい自由診療に特化したクラウド型電子カルテをご紹介します。ぜひ、最後までご覧ください。

紙カルテは大変?よくあるデメリット

紙カルテは、「慣れていると楽」「低コストで運用できる」「パソコン操作が必要ない」などの多くのメリットがあります。

一方でデメリットもあるのが事実です。「先生の字が読めない」「書き直しが簡単にはできない」など、日々の業務の中で大変さを感じている医療関係者の方も多いでしょう。さらに、開業期間の長いクリニックや診療所では、紙カルテの量が増え、毎日の整理や保管スペースの確保に課題を抱えていることもあります。

ここでは、紙カルテのよくあるデメリットを紹介いたします。

文字が読めない、判別に時間がかかることも

紙カルテでは、手書きで記録をします。

見やすい字であれば問題ありませんが、「字が読めない」「判別に時間がかかる」といった問題が起きることも多いようです。

医師は1人で多くの患者さんを診ているため、記録に時間をかけることができず、読めない字になることもあるでしょう。

しかし、判読ができないほどの字では医師の指示を看護師が見間違い、医療ミスにつながる可能性もあります。カルテへの記載は、誰が見てもわかるようにすることが大切です。

書き直しが効かず、汚い記録になってしまう

カルテは公的文書です。紙カルテは、改ざんや不正を伴う修正や追記を予防するため、黒色のボールペン(消えないもの)を使用する必要があります。もし、記載ミスをした場合は、横線2本で訂正し修正印をしなければなりません。修正液を使用したり、書いたものが読めなくなるように塗りつぶしたりなどの行為は禁止です。

間違えた場所も記録として残るため、医師にとっては誤字脱字がないか、漢字が思いつかずに恥ずかしいなど、プレッシャーもかかる場面も多いでしょう。

このように、紙カルテは新しく書き直すことができないため、修正が多い場合は二重線の場所が増えるなど汚くなってしまいがちです。全体的にも見にくい記録になってしまいます。

同時にカルテを閲覧できない

紙カルテは1人の患者さんに対して1部しかありません。

1人のスタッフが使用している場合には、他のスタッフは閲覧も記録もできない状態になります。

さらに、レントゲンやCT、リハビリなど、他部門への搬送が必要な場合は、患者さんとカルテが同時に動くことになり、しばらく外来や病棟ではカルテを確認できない状態になるのです。業務の効率化のため、医師や看護師は空いた時間に必要な記録を済ませたいものですが、カルテがなければ記録をすることもできないため、時間を有効活用することができません。

カルテの保管場所が必要

紙カルテは、「医師法」と「保険医療機関及び保険医療担当規則第9条」により、一連の診療が完結した日から5年間保管することが義務付けられています。現在来院されている患者さんのカルテだけでなく、しばらく来院されていない患者の紙カルテも既定の期間は保管が必要ということです。

開業から時間が経っていればいるほど、患者さんの人数は多く同時に紙カルテの量も増えていきます。場合によっては、保管スペースを新たに確保しなければならないこともあるでしょう。

管理に時間も手間もかかる

できる限り院内での保管を行いたい紙カルテですが、院内では保管しきれない状況に陥るケースもあります。現在は、厚生労働省から発出された「診療録等の保存を行う場所について」により、基準を達すれば書類保管専門業者による外部倉庫での保管が可能です。ただし受け渡す分のカルテを整理するのに時間や手間がかかります。業者に委託することもできますが、その分コストが発生します。

また保管期限を過ぎた紙カルテの破棄は、機密文書処理業者に委託することが一般的です。

院外に大量の個人情報が持ち出されるので、安心して任せられるような業者を探して手続きしなければなりません。

電子カルテなら紙カルテのデメリットを克服できる

電子カルテは、カルテをパソコンなどの端末を用いて作成し、電子データとして保存ができます。

電子カルテには、次のような特徴があります。

  • 記入はデジタル
  • 修正ができ、訂正印が不要
  • 複数人でのカルテの共有が可能
  • 電子データ化するため、保管庫が不要
  • カルテ管理の手間の縮小

これらの特徴によって、紙カルテのデメリットを克服できるポイントを紹介していきます。

記入がデジタルなので、見読性に優れている

電子カルテはパソコンを使用して記入します。デジタル入力なので、見読性に優れ誰が見ても同じように読むことができます。紙カルテのように、「字が読めない」「判読に時間がかかる」といった問題を改善できるでしょう。

また、医師からの指示は専用の画面から確認できるため、指示の見落としを予防できます。字の読みにくさによる、数字や単位の読み違いなどによる医療事故の予防にもつなげることができます。

会計やレセプトに関するチェックもスムーズになることが期待できるでしょう。

修正の際に訂正印などが不要

紙カルテでは、訂正の際に二重線や訂正印が必要ですが、電子カルテには不要です。電子カルテでは、入力中の記載ミス(タイピングミスを含む)にはパソコン操作と同様、修正することが可能です。

ただし、一度登録してしまった記録の修正は本来できません。しかし、明らかな記載ミスで、そのまま記録を残すことが診療に悪影響を及ぼすことが懸念されることもあります。このため多くの診療所やクリニックでは、記録を一度認証して登録し終わった後でも、修正ができるような仕組みが取り入れられています。この場合、改ざん予防のため、データの修正を行う際は元の記録に修正者と修正した時刻が記載されるようになります。

また、電子カルテにはログ(システム情報の履歴)が残るため、一連の記録を追うこともできるのです。

同時にカルテを共有し、閲覧できる

電子カルテは、パソコンなどの端末と院内のネットワークやインターネットにつながっていれば、複数人がどこからでもアクセスできます。リアルタイムに情報を共有でき、記録を都度行うことも可能です。

この特徴により、その日の患者さんの情報を即座に共有することができるため、スタッフ間でのスピーディーな情報共有を可能にします。情報収集もれやカルテを待っている間は作業が進められない、ということを避けることができ、患者さんへの診療や看護ケアの質の向上にもつながるでしょう。

検査部やリハビリテーション部など、部門が多いクリニックであればカルテの持ち運びをする必要もなくなり、多職種の連携もよりスムーズになります。

カルテ棚や保管庫が不要

電子カルテの場合は、記録は全て電子化されたデータで保存されます。さらに、紙カルテでは、のり付けして管理していた検査結果の要旨や画像データの写真など。これらも、電子カルテでは電子カルテ内にデータ保存することができます。

紙カルテの運用から、電子カルテに移行した場合、これまで使用してきた紙カルテのデータも移行することも可能です。ただし、厚生労働省のガイドラインに沿って実施する必要があることや、手間・コストがかかるため、どこまでを電子カルテに移行するのかを検討する必要があるでしょう。

管理の手間が省ける

紙カルテのように、保管庫の整理や保管期限を過ぎた紙カルテの処理など、複雑な管理が電子カルテではほとんど必要ありません。

電子カルテにはサーバーを院内に設置するオンプレミス型、インターネットを通じてクラウド上に診療情報を記録するクラウド型の2種類があります。

オンプレミス型の場合は、データのバックアップを定期的に行う必要があります。しかしクラウド型であれば、自動でバックアップが行われるので、データ管理の手間を省けます。

電子カルテのデメリットはある?

クリニックや診療所の運営にメリットの多い電子カルテですが、デメリットもあるのが事実です。

例えば、紙カルテよりもコストがかかること、紙カルテからの移行時には手間がかかること、自然災害などトラブル時には、電子カルテの使用ができなくなることなどがあげられるでしょう。

ただし、選ぶ電子カルテのタイプや、運用時に安全管理を含めて準備を整えることで、デメリットに対処することができます。

オンプレミス型は費用が高額

電子カルテにはオンプレミス型とクラウド型があります。

オンプレミス型の場合は、院内にサーバーやソフトウェアなどの情報システムを設置する必要があります。このため、初期費用は500万円前後と高額になることがほとんど。さらに、パソコンやプリンターなどのハードウェアの保守費用、5年に1度はシステムの更新が行われ、この際に初期費用と同等の金額が必要になるのです。

オンプレミス型の電子カルテは、初期費用もランニングコストも高額です。

一方クラウド型であれば、サーバーの設置が不要で月額の費用も数万円程度と、初期費用、ランニングコストともに抑えることができます。

移行に手間がかかる

紙カルテから電子カルテに移行するには、システムの選定、スタッフへの電子カルテの操作方法の研修、紙カルテからのデータの移行など、時間や手間がかかります。導入を検討してから、本格的に稼働できるまでには数か月程度の期間がかかるでしょう。

ですが、全ての紙カルテを移行するのではなく、電子カルテ導入後の新規の患者さんに対しては電子カルテで対応し、過去の紙カルテはそのまま紙で閲覧する、という方法であれば移行に手間がかかりません。新規の紙カルテが増えることを防ぐことができますので、保管場所に困ることも無くなるでしょう。

院内体制を整える必要がある

紙カルテから電子カルテに移行する場合には、働くスタッフ全員に使用方法を周知しておく必要があります。

そのため、使用方法のマニュアル作成や勉強会などの時間が必要になります。

また、インターネット回線の工事や障害等で、インターネットが使えない場合・停電した場合などのトラブルの対策として、予備のネット回線を用意しておく、タブレットやノートパソコンでも利用できるようにするなどの対策をしておく必要もあります。

デメリットを考慮しても、電子カルテ導入は効率化につながる

電子カルテからの移行時には、手間や時間、コストもかかるなど、一定のデメリットがあります。しかし情報の見やすさ、書類作成のフォーマットの機能など、電子カルテの導入は業務の効率化のためには効果的なツールです。

今後の診療や業務が効率的に運用できれば、患者さんへの診察やケアに時間をかけることができ、質の高い医療を提供できるでしょう。

書類作成の時間を削減できる

クリニックや診療所では、診断書、証明書、同意書など、多くの種類の書類作成が必要です。

紙カルテの際には、全種類の空欄の書式を印刷して準備し、いつでも使えるように棚などに準備しておくなどの体制が取られていることがほとんどです。

書類作成時には必要分を取り出し、患者さんに合わせた内容を1枚1枚に書き入れていかなければなりません。

電子カルテでは、このような書類の準備や記入がほとんど不要になります。自院に必要な各種証明書のフォーマットを事前に設定できるのです。手書きがほとんど必要なくなるので、書類作成の時間を大幅に削減できます。

担当医が不在でも情報が読み取りやすい

紙カルテでは医師の字によっては、指示や記録や読みにくい場合があり、判読に時間がかかるなどの問題が起きがちです。さらに、担当医が外勤などで不在の場合には、確認を取ることができず、患者さんの施術やケアに支障をきたしかねません。

電子カルテの場合には、医師からの指示は所定の画面に記録されます。検査や処方についても全ての履歴が残るため、医師がどのような診察をして治療の方向性を決めているのか、他のスタッフもその流れを概ね捉えることができます。医師への確認が減るため、医師もスタッフも負担が軽減されます。

紙カルテが大変だと感じたら電子カルテへの移行がおすすめ

コストや業務上の慣れを考えると、紙カルテの使用を継続することも1つの選択肢です。しかし文字の読みにくさなどが続けば、業務の効率化を妨げるだけでなく医療事故を招く可能性もあり、危機管理的にも大きな課題と言えるでしょう。さらに、クリニックの歴史が長くなればなるほど、カルテの保管や管理の手間・コストは増すばかりです。結果的に診療や業務は非効率的になります。

紙カルテの運用に大変さを感じるようであれば、電子カルテへ移行することがおすすめです。移行時には業務が煩雑になり、慣れるまでに時間がかかるなどの課題もありますが、長い目で見れば、クリニックや診療所運営にとってメリットは大きいでしょう。

自由診療クリニックの電子カルテならMEDIBASE

MEDIBASEはクラウド型の電子カルテで、自由診療に特化しています。

利用人数やパソコン台数に制限なく、一医院あたり月額は39,800円。コストを抑えることができ、クリニックや診療所でも導入しやすい料金設定です。

操作画面はシンプルで、直感的に操作ができるというメリットも。電子カルテを扱ったことがないスタッフでも、受け入れやすいデザインです。

紙カルテからの移行のサポートもおこなっていますので、電子カルテ導入の際はぜひご検討ください。