電子カルテの普及率は?普及における課題とカルテの選び方
日本では電子カルテの標準化を目指していますが、電子カルテの普及率は海外に比べ低いのが現状です。特に中小の医療機関では電子カルテ導入にかかるコストが障壁となり、普及率の低さが目立ちます。
この記事では、日本において電子カルテが普及しない理由と課題、対策を解説します。記事の最後には、日本で唯一自由診療に特化したクラウド型電子カルテをご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
電子カルテの普及率は?
厚生労働省の医療施設調査によると、2017年時点の電子カルテ普及率は一般病院全体で46.7%、一般診療所で41.6%となっています。どちらも50%を下回っているのが現状です。一般病院の病院規模別では、400床以上で85.4%、200〜399床で64.9%、200床未満で37.0%。病院規模が大きくなるほど普及率が高く、規模が小さいほど普及率は低い傾向にあることがわかります。
海外の電子カルテの普及率
海外では医療分野のIT化が進んでいます。以下に2017年時点の各国の電子カルテの普及率を示します。
・アメリカ:一般病院で85~100%(200床以上の病院はほぼ100%)。
GP(General Practitioner*1)で80%
・イギリス:一般病院で99%、GPで99%
・韓国:一般病院で91.7%、医院で77.0%
*1 プライマリ・ケアを実践する総合医。イギリスで生まれた制度。日本でいう、かかりつけ医のような存在。
中小の医療機関での電子カルテの普及が遅れている
これまでに示したデータで分かるように、日本では400床以上の一般病院が85.4%と、先進諸国と並ぶ90%目前のところまで来ています。しかし、それ以外の中小の医療機関では、80~90%に達する先進諸国に比べると圧倒的に低い普及率。特に、200床未満の一般病院や一般診療所は普及率が50%以下と、かなり低い水準です。
日本においては、200床未満の病院が病院全体の6割を占めています。このため、小規模病院の電子カルテの導入が遅れていることは、日本の全体の普及率の低さに影響していると言えるでしょう。
出典:病床規模別病院数の割合
電子カルテの普及率が低い理由・課題は?
海外では電子カルテの標準化を政府の機関が主体となって実施していることが多く、インセンティブを与えながら進めてきました。その結果、電子カルテも普及してきました。
日本においては標準化の推進が検討されているものの、海外ほどの十分なインセンティブが与えられていません。このため小規模病院や診療所にとってはコストが障壁となり、電子カルテ導入を困難にしていると考えられます。また、業界のITリテラシーの低さなども課題です。
ここでは、小規模病院や診療所の電子カルテの普及率の低さの理由、課題について解説します。
紙カルテの使用歴が長い
開業から長く紙カルテを使用している病院では、紙カルテで業務を進めるのが当たり前になっています。手間がかかるように見えても、そこで働く医師、スタッフにとっては、使い慣れた愛着のある方法。電子カルテに方向転換することに、抵抗をもつ場合もあるようです。また電子カルテに慣れ、定着させるまでに時間を要することも、導入を踏みとどまる理由になっているようです。電子カルテのレクチャーの時間を設ける時間のなさが課題の1つでしょう。
紙カルテでしか書けないものがある
患者さんが痛みを訴える身体の部位、診察中に気になった異常を示す部位など、言葉では表現しにくい内容があります。紙カルテはペンさえあれば、絵を描いて気になる位置を丸で囲ったり、メモしたりと自由に記載することができ簡単です。
また、電子カルテを使う医療機関は、厚生労働省が打ち出した『標準病名マスター』を使用することが通例となり、病名の表現が不自由になるというデメリットも生じました。このため、診療に役立つ情報の記載ができないことから、電子カルテに抵抗を示す先生もおられるようです。電子カルテの記載の自由度の低さが課題になっていると言えます。
コストがかかる
電子カルテの導入を見送る理由で、最初にあげられるのはコストの問題です。サーバーやソフトウェアなどの情報システムを施設内に設置するオンプレミス型の電子カルテでは、初期費用は500万円前後と高額になります。更にパソコンやプリンター、スキャナーなどのハードウェアも必要となり保守費用も掛かります。また5年に1度、システムの更新が行われ、この時に再び高額な初期費用が必要になります。
大規模病院以外では、このコストの問題が電子カルテ導入の大きな障壁になっているのです。
切り替えの作業に時間がかかる
電子カルテを導入する際にはサービスの選定から、スタッフに対する電子カルテの操作方法のレクチャー、データ移行などに時間が必要となります。本格的な稼働までには、診療所向けの電子カルテであれば、オンプレミス型の電子カルテが1ヶ月~2ヶ月が標準的な準備期間と言われています。
この間、紙カルテと電子カルテを併用する場合もあります。
また、スムーズな電子カルテ運用のためには、スタッフへの電子カルテの使用方法のレクチャーは必須でしょう。電子カルテを初めて使用する場合は、日々の業務を行いながら、スタッフへのレクチャーの時間を確保することが求められます。
医療IT専任の配置が難しい
スムーズな電子カルテの運営のためには、システム業者とのやり取りや、病院内の情報の取りまとめをする医療IT担当者の配置が必要になります。
大規模な病院は、医療IT専任の人材を雇用することができますが、小規模病院や診療所では人材確保のためのコストは大きな負担です。新たな人材を雇用する余裕がないため、医療IT担当者を配置することが難しいのが現実です。
パソコンなどの苦手意識があるスタッフが多い
紙カルテを運用していた病院では、そもそも業務内でパソコンに触れる機会がほとんどありません。プライベートでパソコンを使用していない限りは、パソコン操作には不慣れなスタッフが多い環境だと言えます。
また、クリニック開業の平均年齢は41.3歳と言われていますが、40代の方は自身のITリテラシーが低いと感じている傾向が強く、紙媒体の方が安心と思う方も多いようです。
年代を問わずパソコンに苦手意識がある医療スタッフは一定数いると考えられるのです。このため、パソコン操作を理解するためのレクチャーも必要になってくるのです。
出典:クリニック開業の適齢期は?開業時の平均年齢や定年について | クリニック開業支援のPHCメディコム株式会社
出典:ビジネスマンのITリテラシーに関する調査 – 市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク
電子カルテの選び方
小規模病院や診療所が電子カルテを導入し、その後スムーズに運用していくためには、それぞれの特徴に合致するシステムを選ぶことが重要になります。低コスト、使いやすさ、紙カルテから電子カルテへの切り替えの早さ、システムメーカーのサポート体制は必要不可欠な条件でしょう。各システムの特徴を確認しながら、どんなタイプの電子カルテを導入するのか検討していく必要があります。
コストが低いものを選ぶ
オンプレミス型の電子カルテは初期費用に500万円前後かかるうえ、サーバーメンテナンスやシステム更新などによって、長期的にも高額なコストがかかります。一方、クラウド型の電子カルテであれば、サーバーを必要としないため初期費用は数十万円。月にかかる費用は数万円からと、月々のコストも抑えることができます。クラウド型電子カルテは、長期的に見ても低コストであり、小規模病院・診療所向けのサービスと言えるでしょう。
使いやすいものを選ぶ
医師やスタッフが『使いやすい』と思うシステムこそ、『使いやすい電子カルテ』と言えるでしょう。それは自分たちが目指す診療は何か、つまり目的によります。例えば、在宅医療であれば電子カルテを患者の自宅まで持ち運びできれば便利です。また、自由診療に特化した医院では、複数回の施術の診療コースの管理が簡単にできれば、役務管理の効率化を図れるでしょう。また、紙カルテに慣れている医院であれば、紙カルテのように自由度高く書き込める機能があれば、スタッフの抵抗も少なく作業効率も良くなります。
自分たちの目的に合わせることができる、カスタマイズがあることや、オプションがフィットするシステム選びが、重要なポイントになるでしょう。
切り替えが簡単なものを選ぶ
一般的にオンプレミス型では切り替えに6~8ヶ月かかると言われています。一方で、クラウド型は1ヶ月~数ヶ月程度で導入することが可能です。
早期に電子カルテを導入できれば、カルテの保管などの管理効率がよくなり、診察精度や診療スピードの向上といった、患者さんへのメリットが大きくなります。このため、切り替えが簡単なシステムを選ぶことが重要なのです。
診療所向けの電子カルテならMEDIBASE
保険診療業界では、クラウド型の電子カルテは多く提供されてきましたが、自由診療に対応したクラウド型電子カルテはありませんでした。
MEDIBASEは業界で唯一、自由診療に特化したクラウド型電子カルテを提供しています。
低コストの上、自由診療特化であることから導入後の運用もスムーズです。
また、自由診療ならではの、複数回にわたる施術などの特定商取引法に関わる役務も簡単に管理することができます。
紙カルテのように自由に書き込むことができる
MEDIBASEサービスでは、紙カルテのように患者メモや受付メモなど、電子カルテ上に自由に記載することが可能です。この機能は、その日の診療に関わるスタッフ全員が、リアルタイムで情報を共有することができ、部署間連携の向上にもつながります。さらに、通常の電子カルテでは、何かを入力するたびにオーダーパネルを開く必要があります。しかしMEDIBASEでは検索システムがあるため、クリック数が少なくなるというメリットも。まるで紙カルテをめくるかのような感覚で作業することができます。
直感的に操作でき、使いやすい
シンプルな画面と特許取得済みの入力機能により、情報入力の際に直感的に操作しやすいというメリットがあります。非常勤の医師に、診察前に少し説明をしただけで使いこなせるようになるほどです。
また多くの電子カルテは、1つのメイン画面の上にもう1つ小さな画面を開いたうえで入力するシステムとなっています。しかし、MEDIBASEでは小さな画面は開かず、情報が隠れることがないため、データを確認しながら入力することができるという使いやすさが特徴です。
月額39,800円から利用可能
MEDIBASEのクラウド型電子カルテは、使用するパソコンの台数、利用者の人数に制限はありません。一医院あたり、月額39,800円で利用することが可能です。
また、『インターネット診療予約』『検査会社検査依頼・結果取り込み』『患者情報の一括取り込み』『医薬品データベース』の全てを導入しても、初期費用は350,000円~、と低コストで導入することが可能です。自院に必要なオプションだけを選択することで、さらにコストをさげることもできます。
まとめ
コストの低さや慣れを考えると、紙カルテにはメリットも多くあります。しかし、診療機関が長くなるほど問題になる紙カルテの保存や、他の人が見ているときにはカルテを見ることができないデメリットが生じ、結果的に診療や業務の非効率を招きます。
一概に電子カルテが優れているとは言えませんが、電子カルテにすることで得られる効率化は、病院スタッフのみならず患者さんへのメリットも大きいものです。
病院の目標や目的に合わせ、電子カルテ導入を検討してください。