クリニックスタッフが辞める原因は?一斉退職を防ぐ方法
働き方が多様化している現代において、クリニックスタッフの離職率の高さが話題となっています。今回は、クリニックスタッフが辞める原因や、クリニックスタッフの離職率を下げるための具体的な方法を解説します。なかなかスタッフが定着しないクリニックの経営層の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
クリニックスタッフの辞める原因とは
クリニック開業時にいたスタッフの定着率低下が問題視されています。
最悪の場合、開業から数年後には当時の立ち上げメンバーが1人もいなくなっているケースもあるのです。その背景には、様々な要因が潜んでいます。
今回はクリニックスタッフが辞める原因を解説します。クリニックを経営する院長先生やマネージャーの方はぜひ参考にしてみてください。
職場の人間関係が悪い
職場の人間関係が劣悪であることが原因でクリニックを辞めるケースが多くあります。
想定されるケースの一例としては、看護師同士のうまが合わず、人間関係が悪化し退職するケースが挙げられます。加えて、看護師と医師との人間関係の悪化が原因で退職してしまう方も少なくないのです。
ただでさえ慌ただしい業務の中で、ストレスを抱えるスタッフも多くいます。
中には癖のある患者に対応しなければならないケースもあり、心身ともに疲れを感じることも多いでしょう。それに加えて対人ストレスの負荷が掛かってしまえば、離職率も高まってしまうのです。
給与が低い
給与の低さからクリニックを辞めるケースもあります。
クリニックに従事するスタッフは、往々にして元々病院に勤めていたスタッフが多いです。その多くは、臨床現場で医療に従事していた経験を持つ方がほとんどです。
そのため、クリニックの給与と元々の職場である病院との給与を比較してしまうケースがあるのです。比較の結果、前職よりも給与が低い場合は、スタッフの不満が高まっていくでしょう。
働きやすさを求めてクリニックの現場に就いたスタッフが、重労働を強いられ給与待遇も悪いと感じれば、離職率は必然的に高まってしまうのです。
やりがいがない
ルーチン化しがちなクリニックの業務において、やりがいを感じられなくなり、結果クリニックを辞めてしまうケースもあります。
マンネリ化しがちな受付・会計業務や、患者対応などを退屈と捉えてしまうケースがあります。このままクリニック業務を続けていっても、スキルアップが期待できないと考え、辞めてしまうスタッフがいるのです。
昨今、やりがいを感じることができる環境を求めて別のクリニックや病院への転職を検討するスタッフが一定数存在しています。
休みが取れない
家事や育児に追われ、さらには休みが取れないとなれば、スタッフの離職率は高まります。
休みが取れない原因の1つとして挙げられるのが、人手不足の問題です。
特に流行っているクリニックであれば、応対すべき患者数は相当な人数になります。
その分、人手不足が原因で過酷な業務に発展してしまうのです。
そのような劣悪な環境下で休みが取れない場合、クリニックを辞めてしまうスタッフが続出してしまいます。休みが取れないという要素は、離職を決意するには十分な理由となり得るのです。
業務量が多い
クリニック内で十分な人的リソースが割けず、人手不足が発生し、1人当たりの業務量が増えてしまうケースがあります。
患者応対業務の中でも、検査業務や医師との連携業務など、1人で多くの業務を任される場合があります。そうなると、業務過多が引き起こり、心身ともに疲弊していってしまうのです。
スタッフ同士で業務を振り分けるように協力しようと思っても、根本的にマンパワーが足りていなければ解決の糸口が見つかりません。その結果、辞めるという選択肢を選んでしまうスタッフが発生するのです。
クリニックスタッフの退職を防ぐには?
クリニックのスタッフの中には、業務過多や人間関係の悪化などが原因でクリニックを辞めてしまうスタッフが多く存在します。
そんなスタッフを救い、継続的に業務してもらうための方法を解説します。
現在、クリニックを経営する医師の方やマネージャーの方などは、ぜひ参考にしてみてください。
職場の雰囲気を高める
職場の雰囲気、つまり士気を高めることが効果的です。そのためには、クリニックの経営理念をスタッフに理解してもらえるように定期的にミーティングを開くことがおすすめです。
スタッフ・医師全員が同じ方向を向いて、患者や医療に貢献していく姿勢を持つことができれば、自ずとスタッフの離職率は低くなっていくでしょう。
ミーティングでは、スタッフ全員の意見を尊重できるような、誰でも意見が言いやすい環境づくりをしていくことが大事になります。
スタッフとコミュニケーションをとる
医師を含む経営層の方が、スタッフとコミュニケーションをしっかり取っていくことが最も大事です。コミュニケーションを密に取っていくことによって、職場環境は良好になっていきます。「この人と働きたい。」と思えるような環境が作り出せれば離職率は下がっていくでしょう。
他愛のない雑談や仕事のこと、プライベートのことなど、お互いの人となりが分かるようなコミュニケーションが取れるようになると良いでしょう。
社会保障・福利厚生を見直す
クリニックのスタッフは、20代の若い方から60代のベテランの方まで様々います。
そのため、家庭を持っているスタッフの方も少なくありません。
そのような方の中には、良好な家庭環境を築くためにも、適切な福利厚生や社会保障制度を求める人が多くいます。
家族を養うために、クリニックで働くことで家族生活が悪化しては元も子もありません。
スタッフがクリニックでしっかり勤めつつ、家庭環境を良好に保ってもらうためにも、スタッフに対して適切な福利厚生・社会保障制度を提供していく必要があるのです。
業務の見直しを行う
スタッフ業務の見直しを定期的に行っていくことは非常に重要です。
なぜなら、現場スタッフにしか分からない業務改善ポイントが多くあるからです。
従って、定期的にミーティングを行い、現場スタッフから業務改善ポイントをしっかり拾い上げながらクリニック経営を進めていくことが極めて重要になります。
結果、患者への貢献のみならず、スタッフのクリニックに対する満足度向上に寄与できるのです。クリニックに対する満足度が高いスタッフは継続してクリニックに勤めてくれることでしょう。
採用時には自院との相性を見極める
スタッフを採用する時に、応募者と自院との相性を見極める目的で適切な面接を行う必要があります。
採用側としては、面接時に応募者に対し、自院の良い面だけでなく患者対応などの厳しい場面もあることを伝えておくことが必要不可欠です。
また、一緒に働くスタッフを面接に同席させ、同席したスタッフから見て応募者がクリニックとマッチしている人材であるかを判断してもらうのも効果的です。
これにより客観的にスタッフの適性を見極め、採用ができるようになるでしょう。
スタッフ採用時は慎重に、かつじっくり時間をかけて採用する必要があるのです。
クリニックスタッフが急に辞めてしまうのを防ぐ方法
クリニックを経営していく中で、スタッフが急に辞めてしまうと、大きな影響が出てしまう場合があります。
最悪の場合、人手が足りなくなり、患者をお待たせする時間が長くなってクレームに発展するケースもあるのです。
そのような最悪のケースに陥らないためにも、事前にクリニックの経営層側がスタッフの急な離職を防ぐ仕組みづくりを行っていく必要があります。
以下でいくつか対策をまとめましたので参考にしてみてください。
契約書に退職までの条件を明記する
スタッフ採用時に取り交わす契約書内に、「退職する際は、3ヶ月前に事前申告をすること。」という条件を予め記載しておきましょう。
こうすることで、スタッフの急な退職を防ぐことができます。
また、きちんと契約書に退職までの条件を記載することで、後々起こり得るトラブルを未然に防ぐことができるのです。
経営層、スタッフともにメリットが多くありますので、必ず契約書を取り交わすようにしましょう。
定期的な個別面談を行う
スタッフと定期的な個別面談を行うことが非常に重要です。
面談時にスタッフに対し以下の内容をヒアリングするのです。
・クリニックに対する要望事項
・クリニックに改善してほしい点
スタッフ自身、要望事項やお困りごとがあってもなかなか経営層に直接言うのは気が引けるでしょう。であれば、経営層自らがスタッフに対しヒアリングするのです。
定期的にヒアリングを行い、改善してあげることで、スタッフはクリニックに信頼を置いてくれるでしょう。
そうなれば「これからもこのクリニックで働きたい。」という気持ちで前向きに仕事に邁進してくれるはずです。
【番外編】問題のあるスタッフに退職をすすめる方法
スタッフ採用時に、厳正なる面接を経て採用しているクリニックがほとんどでしょう。
しかし、スタッフに実際に勤務してもらう中で、問題行動を起こす方も一定数います。
そんな時、問題のあるスタッフに対し、上手く退職をすすめる方法があります。
スタッフ管理にお困りの方はぜひ参考にしてみてください。
退職勧告による自主退職
クリニックに不利益を与えるスタッフがいた場合は、退職勧告をしましょう。
その際に注意すべき点は以下の通りです。
・なぜ退職勧告をするに至ったか、問題になったスタッフの言動の例を挙げて事実ベースで説明する
・何度もスタッフに対し、改善を要求してきたが、改善がなされなかったことを説明する
・自主退職してもらうにあたり、十分な時間を与える
大事なポイントは、スタッフに対し改善要望を出してきたが、改善されなかったので退職勧告を出した点をきちんと伝えることです。この点が上手く伝えられない場合、相手のスタッフと揉めるケースに発展するため、この部分には特に最新の注意を払いましょう。
解雇
退職勧告を出したのにも関わらず、スタッフが受け入れない場合は、解雇せざるを得ません。
その際にクリニック側がやるべき重要なことは、以下の点です。
・問題を持つスタッフに対し、今まで改善要望を出してきたが改善されなかったことを事実ベースで書面、あるいは録音に残す
・問題を持つスタッフの身内にまで相談したが、改善が見込めないため、スタッフが退職せざるを得ない状況を伝える
重要なポイントは、クリニック側が問題のあるスタッフに改善要望を出し、改善のために行動に移してきた点を伝えることです。
万が一、スタッフから提訴されても、証拠をきちんと残しておけば反論しやすくなります。
事態が一向に良くならない場合は、決断しましょう。
スタッフの業務改善のためにシステム導入も検討すべき
スタッフがクリニックを辞める際の理由の1つに、院内設備が古すぎて業務がやりづらい点があります。
業務効率向上に寄与できる最新のシステムがあるかどうかも、スタッフにとっては重要なポイントになるのです。
システム導入をすることによって、スタッフのクリニックに対する満足度も向上しますので、システムは積極的に導入しておきましょう。
予約システム
クリニックに患者が来る際に必ず発生するのが待ち時間です。特に流行っているクリニックであればあるほど、患者の待ち時間は増えていく一方です。
そんな問題点を解決するために導入すべきシステムが、予約システムです。
予約システムを導入することで、患者の待ち時間が減少し、患者満足度の向上が期待されます。さらには、スタッフが患者に対応すべき時間の短縮も見込めますので、スタッフの業務効率向上にも寄与できるのです。
特に流行っているクリニックは、予約システムを積極的に取り入れましょう。
電子カルテ
いまやクリニックを含む医療機関において、電子カルテシステムは欠かせない物となりました。高額なイニシャルコストが掛かる一方で、スタッフの業務効率向上や医療の質向上が期待できるのです。
また、電子カルテを導入していることで、スタッフ募集時や患者の集客時に大きな効果を発揮します。
スタッフ目線で考えても、最新の設備がある医療機関で働きたいというニーズが一定数あるのです。
スタッフに対し、より良い職場環境を提供するためにも、電子カルテシステムは必要不可欠な物であると言えるでしょう。
まとめ
今回は、クリニックスタッフが辞める原因や一斉退職を防ぐ方法などについて解説しました。働き方が多様化している現代において、クリニックのスタッフの転職は加速しています。しかし、クリニック側がしっかり対策をしておけば、スタッフの退職を防ぐことは可能です。
MEDIBASEは、予約システムとの連携が可能な電子カルテです。スタッフの業務改善に役立つ機能を多く有していますので、電子カルテ未導入のクリニックはぜひご検討ください。