電子カルテの導入で問診票はデジタル化可能?

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厚生労働省は2020年までに電子カルテを90%普及させることを目標としているように、医療現場でもペーパーレス・電子化が進んできています。

電子カルテの普及率は2017年時点で一般病院は46.7%、一般診療所は41.6%で、これからも電子カルテの普及は進んでいくことが予想されるでしょう。

そんな中、未だ紙媒体で残っているのが、患者さんが記入する「問診票」です。

今回は、問診票をデジタル化することはできるのか、電子カルテ普及との関連性も併せてご紹介いたします。

そもそも、問診票は何のために必要?

問診票は、患者さんと医師がスムーズに診療ができるよう、患者さんの受診目的や症状を自己申告するものです。

また、患者さんのアレルギーや現在飲んでいる薬、妊娠の有無など、診療に必要な情報を医師に予め伝えることで、正確な診療を行うことができます。

問診票は紙のままのところも多い

電子カルテや画像管理システムなどがデジタル化されているのにも関わらず、問診票は紙のまま運用しているという病院や診療所が多いのも事実です。

患者さんが記載した紙の問診票の内容を、受付の担当者が電子カルテに記載したり、問診票の受け渡しが発生することも多いでしょう。

紙の問診票は、字が判読できない、記入漏れがあるなどで再確認が必要になることもあり、入力作業や再確認が手間に感じるスタッフも多くいるのが現状です。

問診票のデジタル化についての意識調査結果

日経メディカル Onlineが行った「電子カルテに関するアンケート」では、導入に前向きな医師は30%にとどまっています。

引用:【開業医286人に聞いた】コロナ禍で注目のICTツール意識調査

問診票をデジタル化することでのメリットは大きいですが、それ単体では利益を生むわけではないため、費用対効果が見えにくいことも導入の足かせになっていることが考えられます。

現在も制度や補助金の動向を見極めながら、導入に関しては厳しい目で吟味している医院が多いことが伺えます。

電子カルテの導入で問診票はデジタル化できる?

電子カルテの機能やベンダーによりますが、電子カルテを導入したからといって、基本的に問診票はデジタル化できません。

現在では、問診票をデジタル化し、そのまま電子カルテに記載ができるというサービスや、事前にWebで患者さんに問診票を記入してもらえるサービスを行っている企業も増えてきています。

また、電子カルテに付随している予約管理システムで対応するという医院もあります。

上記でお伝えした通り、制度や補助金の対応を希望している医師も多いため、政府や自治体の対応を待つ必要があるでしょう。

紙の問診票のデメリット

現在、問診票のデジタル化に前向きな医院は30%程度になっていますが、紙の問診票にはデメリットがあります。

主なデメリットは以下の2つです。

  • 患者さんが体調が悪い中問診票を書くのは負担が大きい
  • 問診票のカルテ転記に時間がかかる

1つずつ解説していきます。

患者さんが体調が悪い中問診票を書くのは負担が大きい

問診票は、患者さんが来院した際の一番体調が悪い時に書いてもらわなければならないものです。患者さんは「これから医師に症状を伝えるのに、しんどい時に紙で症状を記入しなければならないんだろう」と不満を持つ方もいらっしゃるでしょう。

また、問診票を書く時間も必要になるため、結果的に院内にいる時間が増えてしまうというデメリットもあります。

新型コロナウイルスの感染拡大を鑑みても、人が密集している場所にいることは避けたいと考える患者さんも多くいらっしゃいます。

問診票のカルテ転記に時間がかかる

患者さんに問診票を記入してもらった後に、受付担当が電子カルテに問診票の内容を転記する作業が発生します。

この作業は手作業になるため、時間もかかりますし、人の手によるものなので転記ミスも考えられます。カルテに転記する時間を少なくすることで、効率化の余地も生まれてくるでしょう。

問診票をデジタル化するメリット

では、問診票をデジタル化するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

問診票をデジタル化する主なメリットは、以下のようなものがあります。

  • 問診票を電子化する手間が省ける
  • 患者さんへの対応がスピードアップ
  • 再確認の手間が省ける
  • 紙よりも多くの情報を記入してもらえる
  • 問診票の内容から診療科や疾患名を類推できる

1つずつ解説していきます。

問診票を電子化する手間が省ける

問診票をデジタル化することによって、電子カルテに転記するという手間が省けます。

デジタル機器の操作が不慣れな患者さんは紙の問診票での対応が求められますが、それ以外の患者さんの診療までのスピードを早めることができますので、待ち時間の削減や受付担当の業務負担を減らすことにつながるでしょう。

患者さんへの対応がスピードアップ

上記したように、電子カルテに問診票を転記する作業が削減されれば、患者さんへの対応も素早く行うことができます。

今まで転記する作業に使っていた時間を、患者さん対応に回すことができますので、より丁寧な接遇が可能になるでしょう。

病院からの対応を気にする患者さんも多いため、丁寧でスピーディな対応によって患者さんとの信頼関係の構築にもつながります。

再確認の手間が省ける

紙の問診票では、手書き文字の判読や記入漏れに関しての再確認の手間がかかります。

患者さんも体調が悪い中記入することで上手く症状を書き記すことが出来ない場合もありますので、受付担当者にとっても患者さんにとっても負担になるでしょう。

問診票をデジタル化することによって、選択式のフォーマットを使うことで患者さんの利便性にもつながりますし、読みやすく、抜け漏れの無い問診票を医師に伝えることができます。この結果、スムーズに診療を進めることができるようになります。

紙よりも多くの情報を記入してもらえる

問診票は、多くの場合A4サイズ1枚程度に記載してもらうことになっていますが、症状や既往歴によっては多くの情報が必要になる場合もあります。

問診票をデジタル化することによって、書くスペースの制限が無くなり、より多くの情報を記入してもらうことが可能です。

過去の情報や現在の状況をより詳しく記入してもらうことで、正確でスムーズな診療が実現できるでしょう。

院内の滞在時間が減り、院内感染リスクが抑えられる

問診票をデジタル化した場合、来院前の予約のタイミングで問診票を記入してもらうことが可能になります。

その結果、院内に患者さんが集まることを防ぎ、院内感染リスクが抑えられます。

新型コロナウイルスの感染拡大後、より人と接する機会を減らしたいと考えている患者さんも多いため、このような対応は患者さんの安心にもつながります。

また、受付担当や看護師の感染も防ぐことができますので、患者さんにも医療スタッフにも両方のメリットがあります。

まとめ

今回は、問診票のデジタル化についてご紹介いたしました。電子カルテの導入は着実に進んできていますが、問診票のデジタル化についてはまだ検討段階にいる医院が多いようです。

医療のデジタル化を進めるにあたっては、まずは電子カルテの導入が急務です。

電子カルテの導入がまだお済みでないクリニック・診療所は、まずは電子カルテの導入をご検討ください。