電子カルテ導入の流れ|ポイントをおさえて失敗のない導入を!
医療現場の業務効率化のために必要不可欠となっている電子カルテ。
これまではオンプレミス型の電子カルテが主流であったため、コスト面や運用のハードルの高さが課題となっていましたが、クラウド型電子カルテの登場により、導入がしやすいサービスが次々と展開されています。
そこで今回は、開業・移行がスムーズになるよう、電子カルテの導入の流れと注意点をご紹介いたします。
目次
電子カルテ導入の流れ
電子カルテ導入には、電子カルテの種類(クラウド型・オンプレミス型)やベンダー、病院の規模によって変わりますが、一般的には
- 電子カルテの選定
- 要件確認・設定・デモ運用
- 試験運用
- 運用開始
の4つの流れになります。
電子カルテの選定から運用開始までの期間は、2ヶ月~半年程度となります。
電子カルテの選定
電子カルテの選定時には、導入費用やサポート面、必要な機能があるか、操作性などを軸に3社程比較検討することをおすすめします。初期費用や月額費用のほかにかかるコストはないかどうか、見積もりを出してもらってから比較検討すると後から追加費用がかさんでしまった、ということを防げます。
要件確認・設定・デモ運用
ほとんどの電子カルテベンダーでは無料のデモが利用できるため、必ず利用しましょう。
複数社のデモを行う場合には、1ヶ月程かかってしまうことがありますが、選定時にしっかりと時間をかけることで、導入後のトラブルを防ぐことができます。
電子カルテベンダーとの打ち合わせでは、診療科目や電子カルテの導入目的、デモで確認したいポイントを予め相談しておきましょう。
試験運用
デモが完了し、導入したい電子カルテが決定したら、試験運用(リハーサル)を行っていきます。
リハーサルの前に、事前に病院の運用に沿った操作方法の説明会などを行い、不明点はベンダーに質問をして理解しておくことが必要です。
この時に、操作性やレイアウトなどの確認をして、変更が必要な部分や運用課題が見つかった場合には、解決策を検討しましょう。
運用開始
ベンダー立ち合いのもと、運用を開始します。デモや試験運用では気づけなかったポイントや、課題が見つかることもあります。
その際、導入後のサポートがあるベンダーであれば安心です。導入後のサポートはオプションとなっていることも多いため、導入前に確認しておくことが大切です。
また、電子カルテには便利な機能が多く備わっていますが、使いこなせなければ業務の効率化にはつながりません。導入後も定期的に電子カルテが有効活用されているかどうか、改善点がないか確認しましょう。
電子カルテ導入までに確認すること
電子カルテ導入のために必要な流れがつかめたら、選定の段階で導入までの準備を進めていきましょう。
導入までに確認しておくべきことは以下の4つです。
- 導入の目的を明確にする
- 費用で比較する
- サポート体制があるものを選ぶ
- 必要になるハードウェアを確認する
1つずつ詳しく解説していきます。
導入の目的を明確にする
まず、電子カルテ導入の目的を明確にしましょう。
「業務を効率化したい」という目的がある場合には、どのシーンでどのような効率化を目指したいのか、一歩踏み込んで確認しておくことが大切です。
例えば、「カルテへの入力を簡単にしたい」「カルテの共有を素早く行いたい」「紙カルテの手書きの便利さと電子カルテのメリットを両立させたい」など、自院にあわせた課題が見つかるはずです。
課題に対して、どのような機能が必要なのかを考え、電子カルテの選定をしていきましょう。
費用で比較する
電子カルテの普及率は年々上がってきていますが、導入のボトルネックとなっているのがコストの面です。
オンプレミス型の電子カルテが主流だった時代には、莫大な初期費用や保守費用がかかったため、小規模病院や診療所では導入がなかなか進められないという背景がありました。
ですが、近年ではクラウド型電子カルテの普及により、初期費用は数十万円程度、月額費用も数万円から利用できるものも増えてきています。
機能やオプションによって費用はまちまちですので、必ず見積もりを出してもらってから選定を進めましょう。
サポート体制があるものを選ぶ
電子カルテの導入で悩みがちなのが、操作面です。
PCの操作に慣れていない、苦手意識を持っているという方は、電子カルテの導入に及び腰になりがちですが、現在は操作性も直感的で分かりやすいものが増えてきています。
導入に不安がある場合には、導入後のサポートサービスにはどのようなものがあるのかを確認しておくと良いでしょう。
必要になるハードウェアを確認する
オンプレミス型の電子カルテでは、必要なハードウェアが決められていることも多く、追加で機器の購入が必要になります。
クラウド型電子カルテであれば、基本的には推奨スペックを持っているハードウェアであればどんなパソコンでも利用することができます。
どのような機材が必要なのか、追加購入の必要があるかどうかも確認しておきましょう。
電子カルテの選定でおさえておきたいポイント
電子カルテは、今やさまざまなベンダーがサービスを提供しています。
その中で、どれが一番自社に合っているのかどうか判断しづらい、と思う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、電子カルテの選定でおさえておきたいポイントについてご紹介いたします。
重視する項目を決めて何社か比較検討する
「導入の目的を明確にする」でお伝えした通り、自院が電子カルテの導入でどんなことを解決したいのか、どんな目的があるのかを明確にしていれば、重視する項目がおのずと決まってくるはずです。
操作性を重視するのであれば、「直感的な操作ができるか」「導入後のサポートがあるか」などの項目が重要になりますし、患者さんの待ち時間を改善したい場合には「予約の確認ができるか」「患者情報の登録が容易か」などの項目が考えられます。
このように、重視する項目を決定し、少なくとも3社ほどから比較検討しましょう。
必ずデモ運用をして検討する
上記でお伝えした、重視する項目の他にも、デモを受けることによって操作性の問題点や必要な機能が見えてくることもあります。
スムーズに運用ができるよう、事前に確認したい事項を決めてからデモに臨みましょう。
また、この際にサポート内容も確認しておくと、導入後のトラブルにも対応できるでしょう。
電子カルテの試験運用の際のポイント
試験運用では、メーカーの担当者とマスタ設定などを行います。処方・治療・病名といった高頻度で記入する項目に関しては、このフェーズで設定することでスムーズに運用を開始できるでしょう。
システムに関しての操作説明会では、スタッフの視線でシステムの使い方を確かめることによって、現場のスタッフが感じている課題や疑問点が出てくる場合もあります。
現場の声を取り入れつつ、試験運用を進めることで業務の効率化を図ることができるでしょう。
電子カルテ運用時に注意すべきポイント
実際に電子カルテの運用を開始すると、想定していなかったトラブルや問題点が見つかることもあります。
ここでは、電子カルテを導入後に起こりがちな注意点についてご紹介いたします。
データのバックアップが万全か
電子カルテの導入にあたり、大切なのがデータのバックアップ体制についてです。
クラウド型電子カルテであれば、ベンダーが管理するデータセンターでデータ管理をするため、トラブルがあってもすぐに対処が可能です。
自院にサーバーを置くオンプレミス型の電子カルテは、故障が起こった場合にはSEを呼び修理をしてもらうことになるため、復旧までに時間がかかります。また、災害時にはサーバーが再起不能な状況になれば、全データの消失にもつながるおそれがあります。
万が一の事態に備えて、バックアップ体制の確認は必須となるでしょう。
セキュリティ対策がとれているか
電子カルテをデータにするにあたって、「情報が漏れてしまうのでは?」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
一般的な電子カルテは、標準装備としてサービス業者やサーバーの管理者が「不正侵入検知システム(IDS)」などを用いて、第三者の不正なアクセスを遮断しています。そのため、第三者がハッキングするなどして盗み見られる心配はありません。
また、保存されたデータは、サーバーへ送られる過程で暗号化されます。そのためたとえサーバーに保存されているカルテデータを第三者が不正に入手しても、情報を見ることは事実上不可能になっています。
セキュリティ対策が出来ている電子カルテかは、3省2ガイドラインに準拠しているかや、個人情報に関する企画に準拠しているかで判断することができます。
導入のためのサポートがあるか
新しい電子カルテを導入する際は、以前利用していた電子カルテのデータや紙カルテのデータを移行するためのサポートが必要になります。
データ移行はどのように行われるか、その値段や期間についても確認しておきましょう。
また、電子カルテ導入後のサポートの確認をする際、操作説明などのサポートはもちろん、法令改定が行われた際にどのような対応をしてもらえるかも確認しておきましょう。
基本的には、法令改定による対応をしない電子カルテはないと言えますが、どのようなスピード感で対応が可能なのか、イレギュラーはあるのかを確認しておくとより安心して利用することができるでしょう。
電子カルテ導入の流れについてのよくある質問
ここまで、電子カルテの導入の流れや各フェーズごとの注意点についてご紹介いたしました。
ここでは、電子カルテ導入の流れについてよくある質問をまとめましたので、導入前に確認してください。
クラウド型とオンプレミス型はどっちがいい?
新規での開業や導入には、クラウド型電子カルテの導入をおすすめします。
理由としては、クラウド型電子カルテは、一切の情報を院内のPCに保存することがないため、セキュリティ対策になることや、サーバーの購入費用が不要なため、低コストで導入が可能になることなど、メリットが多いことがあげられます。
一方、オンプレミス型の電子カルテは、初期費用が高額であること、5年程で再度購入の必要があることなど、デメリットも多いですが、これまで医療機関で広く使われてきていることや専門的な機能や高度な医療機器との連携ができることがメリットです。
このようなメリット・デメリットを踏まえたうえで、自院にあったものを導入しましょう。
紙カルテとの併用は可能?
可能です。
既存のクリニックでは紙カルテと電子カルテを一定期間は併用する、紙カルテの方が伝わりやすい内容は紙で共有するなどの併用を行っている医院も多いのが事実です。
無理に電子化してスタッフの負担が増えてしまうと本末転倒ですので、電子カルテと紙カルテを併用し、紙を完全に無くす選択肢を取らなくとも、業務を効率化することが最重要です。
電子カルテを導入し、紙カルテをスキャンしてデータ化すれば、紙カルテと電子カルテの併用も容易です。
自院の状況にあわせて、どのケースであれば紙カルテを使うかなどを事前に決めておくと良いでしょう。
導入の際に利用できる公的な補助金はある?
クラウド型電子カルテが対象となる補助金は、経済産業省が行っている「IT導入補助金」があります。2021年度の受付は終了していますが、2022年も継続して行われることが決定しています。
2022年1月28日現在、開始時期などはまだ発表がされていませんので、最新情報は常に確認しておきましょう。
出典:IT導入補助金
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電子カルテ導入の流れや、各フェーズにおいての注意点、ポイントをご紹介いたしました。
電子カルテの選定には、少し時間をかけることによって、導入後のトラブルを防ぐことが可能ですので、入念に準備していく必要があります。
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電子カルテの導入をお考えなら、ぜひ一度ご相談ください。