電子カルテと紙カルテの違いとは?それぞれのメリット・デメリットをご紹介
新しく開業するクリニックでも多く導入され、今や医療現場では欠かせない存在となった電子カルテ。従来の紙カルテから電子カルテへの移行を検討しているクリニックも多いでのはないでしょうか?
これまでは紙カルテが一般的でしたが、電子カルテを利用することで作業効率がグッと上がるため、新しく開業する際に約8割ものクリニックが導入すると言われています。
この記事では、電子カルテと紙カルテの違い、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
目次
電子カルテとは?
電子カルテとは、紙ベースで管理していた患者情報や診療内容・処方薬・治療経過などをパソコンやタブレットを用いて作成し、電子的なデータとして保存、管理するシステムのことを指します。
電子カルテを導入することで、予約管理や会計業務、カルテ入力などを一括して管理できるため、毎日の業務効率化に繋がります。
以前は自院にサーバーを設置するオンプレミス型が主流でしたが、サーバーを設置する必要がないクラウド型の普及により、導入するクリニックが増えてきました。
電子カルテの普及率
厚生労働省では地域医療連携や医療情報の標準化を進めるべく、電子カルテの導入を推進しています。2017年のデータから見る電子カルテの普及率は、400床以上の病院では85.4%、200~399床の病院は64.4%、200床未満では37.0%が電子カルテを導入しています。
一方では、2017年のデータで一般診療所の普及率は41.6%と、規模が小さい施設では紙カルテでの運用を続けているということが分かります。
電子カルテのメリットから見る紙カルテとの違い
電子カルテには、紙カルテにはないさまざまなメリットがあります。「紙のカルテへ直接記入するよりはなんとなく便利そう」といった漠然としたイメージを持つ方も多いでしょう。
では、実際に電子カルテと紙カルテを比較して、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?クリニックの規模や診療内容によって、向き・不向きがあります。
電子カルテ導入によるクリニックと患者さんへのメリットとは、一体どのようなものなのか、いくつかご紹介します。
すぐに情報を探せる
電子カルテは、データベースで保管・管理できるので、名前や電話番号のキーワードで瞬時に必要な情報を取り出せます。そのため、カルテ棚からカルテ番号を基に探す必要がなく、受付業務が簡素化され作業効率も良くなります。
日付検索もできるため、紙カルテを1ページずつめくって過去の治療歴を探す必要もないため情報を探しやすく、緊急時なども迅速な対応に繋げられます。また、その他のシステムと連携させると、検査結果やCT画像、予約状況なども簡単に確認できます。
字が読みやすい
紙カルテは、医師が直接手書きで記入するため、他のスタッフが読めないことがあります。記録した字が読み取れないと、その都度確認する作業が発生するため、医師とスタッフのどちらにもストレスになってしまいます。
一方の電子カルテは、パソコンやタブレットを用いて作成するため、一部のスタッフが読めないといった問題が発生しません。すべてのスタッフが読み取れるテキストベースなので、読解に時間がかかるといったこともありません。
医師からの指示を的確に把握できるようになるため、間違いや事故を未然に防げるだけでなく、会計やレセプト業務もスムーズに行えるようになります。
スペースを取らない
紙カルテを運用する場合は、受付に紙カルテを保管するためのカルテ棚を設置する必要があります。また、カルテの保管期間は5年間と義務付けされているため、一度きりの患者さんのカルテも保管しなくてはなりません。そのため、インアクティブな患者さんのカルテを保管するための保管庫も別途必要です。
電子カルテでは、保存したデータはすべてサーバーで保管しているため、患者数の増加に比例して、カルテを保管するスペースも増えていくといったことは起こりません。
電子カルテを導入することで、カルテを保管するスペース確保が必要ないため、スペースを有効活用できます。待合スペースを広くしたり診察室を増やしたりすることで、クリニックの収益アップにも繋がります。
文書作成や会計業務が効率化できる
電子カルテでは、事前に定型文を登録するなどして文書作成の時間短縮を計れます。また、キーボードに頻繁に使う単語を事前に登録することもできたり、予測変換の機能を使用したりすることもできます。
レセコンと連携させることで、診察を終えた医師がカルテ入力をすると、事務で再入力や計算をすることなく医療費が自動計算されるため、会計業務がスムーズに進みます。患者さんを待たせる時間も短縮できるため、クリニック満足度の向上にも期待できます。
リアルタイムでの情報の編集・確認が可能
電子カルテで入力されたデータはリアルタイムで反映されるため、別のパソコンやタブレット端末などでもすぐに情報が確認できます。患者さんが移動する場所に合わせて紙カルテを移動させる手間も省け、紙カルテがまわってくるまで確認・処理できなかったことも、タイムリーに行えるようになります。
さらに、クラウド型の電子カルテでは、インターネット接続ができる環境であれば、クリニック外でもタブレット端末やスマートフォンからカルテの閲覧・操作が可能です。
検査結果の取り込みが簡単になる
紙カルテでは、必要に応じて検査結果やCT画像を印刷しカルテに貼り付けるなどの作業が必要ですが、電子カルテでは、データ化された検査結果やCT画像を電子カルテに簡単に取り込めます。紙カルテのように貼り付けた分だけかさばることもありません。
必要な時にすぐ電子カルテの画面上から確認ができるため、別のシステムから探す手間が省けます。また、患者さんやご家族へ検査結果の数値や医用画像をタブレットなどに表示しながら、分かりやすい説明を行えるためインフォームドコンセントの向上にも繋がります。
電子カルテのデメリット
便利で作業効率がアップする機能がたくさん付いている電子カルテですが、どんな機械にも少なからずデメリットがあるのも事実です。
電子カルテのデメリットとは一体どのようなことが挙げられるのか、導入の前にしっかり把握する必要があります。デメリットを事前に理解することで、リスク回避に繋がり、スムーズな運用が可能になります。
定着するまでに時間がかかる
電子カルテのシステムや設定、使い勝手を理解するまでは、使いづらく逆に作業効率を悪くしてしまうこともあります。特に、紙カルテに慣れているスタッフや、パソコンの扱いが苦手なスタッフは使い方が定着するまでに時間がかかってしまうことが考えられます。
クリニック内で、よく使う機能や間違えてはいけない機能などを簡単にまとめた表を作成するなどして対策するなど、定着までの時間を短縮させる工夫が必要な場合もあります。
また、電子カルテとレセコンが別のシステムの場合は、二つの操作を覚える必要があるため、さらに時間がかかってしまうこともあります。
停電時やシステム障害の際に利用ができない
電子カルテは電子化されたデータを使用するため、インターネット接続が不安定だったり、サーバーに障害が起こったりすると、一時的に使用できなくなることがあります。
万が一に備え、タブレットのメモ機能を併用したり紙ベースの記録を残しておいたりなどすると、非常事態にも慌てることなく対応できます。
セキュリティ対策が必要
紙カルテはクリニック内だけで管理・保管していますが、電子カルテはサーバーでデータを管理・保管しているため、紙カルテに比べると情報漏えいのリスクが高くなります。サイバー攻撃や不正アクセスなどからデータを保護するため、セキュリティ対策は必須事項であると言えます。
また、クリニック内のスタッフがUSBなどにデータをコピーし持ち出す可能性はないとも言い切れません。クリニック内のサーバーにデータ残さないクラウド型の電子カルテを利用すると、クリニック内での情報漏えい対策にも効果的です。
紙カルテのメリット
電子カルテのメリットをご紹介しましたが、紙カルテには以下のようなメリットがあります。
- 停電やシステム障害が起きても使用できる
- コストが安い
- 一覧性が高いため見やすい
紙カルテは文字が見える灯りがあれば、停電や災害時でも患者さんの情報を確認できます。システム障害により一時的に使用できなくなったり、データが失われたりといった心配もありません。
また、電子カルテは導入時にそれなりのコストがかかります。オンプレミス型の電子カルテは自院にサーバーを設置するため、初期費用だけでも数百万円からと決して安いとは言えません。クラウド型の電子カルテも初期費用は抑えられますが、毎月の使用料などがかかります。一方の紙カルテは、紙とペンがあれば十分です。
さらに、紙カルテは一覧性が高いため見やすく、過去のカルテとの比較や記録の確認なども簡単に行えるメリットがあります。
紙カルテのデメリット
紙カルテのメリットをご紹介しましたが、紙カルテには以下のようなデメリットも存在します。
- 一部しかないため同時に確認ができない
- カルテ棚とは別に保管場所が必要
紙カルテは基本的に一人の患者に対してカルテが一部しかありません。そのため、誰かがカルテを使用している時には、別の場所でカルテを閲覧できないデメリットがあります。他には、紙カルテを確認のために黙って持ち出すなどすると、他のスタッフが紛失したと勘違いすることもあります。
また、紙カルテは患者さんの分だけ増えていくため、紙カルテを保管するスペースが必要です。クリニックの規模が大きいと量が膨大になりがちなため、管理するスペースもそれなりの広さが必要です。
それぞれのメリットに合わせて併用も可能
実は紙カルテと電子カルテは、それぞれのメリットに合わせて併用することも可能です。
例えば、紙カルテから電子カルテへの移行時は、すべてのカルテを移行させるにはかなりの労力が必要です。その場合には、来院した患者さんの分だけをスキャンし、電子カルテに取り込むという方法があります。
数年間来院していない患者さんのカルテは、紙カルテのまま保管し、保管期間である5年を過ぎた紙カルテを順に破棄していくと、管理庫の整理整頓もできます。
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