電子カルテの「電子保存の三原則」について
現在、医療現場での電子カルテの導入が増えてきています。
1999年以前は、電子カルテは認められておらず、紙カルテの使用がほとんどでした。ですが、紙カルテを電子保存するためのガイドラインが厚生労働省によって制定されたことにより、電子カルテの普及が進んでいます。
そのガイドラインの最新版が「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.1版」です。
このガイドラインには、法的に保存義務のある文書等の電子保存の要件として、電子カルテが守らなくてはならない3つの事項が明記されています。これが電子カルテにおける「電子保存の三原則」です。
今回は、この「電子カルテの三原則」についてご紹介いたします。
目次
電子保存の三原則とは?
1999年、厚生労働省は電子カルテの普及のために「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を制定しました。
厚生労働省のガイドラインによると、電子保存の三原則について以下のように記載されています。
(前略)これら法的に保存義務のある文書等の電子保存の要件として、真正性、見読性及び保存性の確保の3つの基準が示されている。
それらの要件に対する対応は運用面と技術面の両方で行う必要がある。
運用面、技術面のどちらかに偏重すると、高コストの割に要求事項が充分満たされなかったり、煩わしさばかりが大きくなったりすることが想定されるため、両者のバランスが取れた総合的な対策が重要である。
各医療機関等は、自らの機関の規模や各部門システム、既存システムの特性を良く見極めた上で、最も効果的に要求を満たすよう、運用面と技術面の対応を検討されたい。(後略)
引用:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.1版
(※太字・改行は追加いたしました。)
ここから分かるように、電子保存の三原則とは、「真正性」「見読性」「保存性」の3つの基準を守ることです。
こちらの三原則を1つずつ解説していきます。
真正性とは
電子カルテの三原則の1つである「真正性」とは、ガイドラインによると、
「電磁的記録に記録された事項について、保存すべき期間中における当該事項の改変又
は消去の事実の有無及びその内容を確認することができる措置を講じ、かつ、当該電磁
的記録の作成に係る責任の所在を明らかにしていること。」
引用:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.1版
としています。
これらの考え方は、簡単にすると
- 第三者から見て、誰がいつ記入したかが確認できる
- ID・パスワードの共有・使いまわしをしない
- なりすまし等が行えないような運用環境を整備する
- 保存期間内は履歴を残さないでの改変・消去が出来ないようにする
- 権限を持つ確定者が記録の確定を実施する
などが真正性を遵守しているといえます。
つまり、書き換えや消去、改変などを行えないような対策をすること、カルテの改ざんやハッキングを防ぐためのセキュリティ対策を行わなければいけないことが求められています。
見読性とは
2つ目の「見読性」は、ガイドラインによると、
「必要に応じ電磁的記録に記録された事項を出力することにより、直ちに明瞭かつ整然
とした形式で使用に係る電子計算機その他の機器に表示し、及び書面を作成できるよう
にすること。」
引用:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.1版
とされています。
つまり、電子カルテのデータの内容がすぐにはっきりと読むことができ、紙カルテと同じ形式で印刷も可能になっていることが求められています。
紙カルテは、一目見るだけで必要な情報が確認できますが、電子カルテでは
- 必要なアプリケーションを通してでないと読めない
- 複数の媒体に分かれて記録されている
などで一目で紙カルテと同じように必要な情報が確認出来なくなってしまうこともあります。
それを防ぐために、
- 患者さんごとの全ての情報の所在が管理されている
- 見るために必要なアプリや機器を整備しておく
- すぐに検索表示ができるようにしておく
- システム障害が起こった場合でもカルテを読めるようにバックアップをしておく
などを行って、電子カルテがすぐに読め、出力できるようにしなければなりません。
保存性とは
3つ目の「保存性」とは、ガイドラインによると、
「電磁的記録に記録された事項について、保存すべき期間中において復元可能な状態で
保存することができる措置を講じていること。」
引用:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.1版
とされています。
つまり、「真正性」「見読性」を保った電子カルテを、患者さんの最後の来院日から5年間は閲覧可能な状態で保存しなければなりません。
具体的には、コンピューターウイルスなどによってデータが破壊されてしまったり、サーバーの劣化などによってデータが損失・破壊されたりするのを防ぐことが必須となります。
万が一の時に備え、カルテのバックアップをすることや利用するソフトウェアや電子機器は適切に選び、不具合が生じた場合は速やかに修理をしたり交換をしたりすることが必要になります。
また、「真正性」で述べた改ざんや消去の防止対策も、この「保存性」に含まれるでしょう。
三原則が守られないと罰則はある?
電子カルテの三原則が守られていなくても、直ちに法律違反になり罰則が与えられるということはありません。
電子カルテの三原則はガイドラインに記載されている内容であり、法令ではないためです。
ただし、この三原則の「最低限のガイドライン」が守られていないことによって「e-文書法」を遵守していないとみなされ、医療に関係する多くの法令等の違反となり、罰則が課せられることはあります。
例えば、簡単にデータがアクセスできるような状態にしておくと個人情報保護法違反となりますし、決められた期間が終了する前にデータを消去してしまうと医師法違反となります。
出典:「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第 5.1 版」 に関するQ&A
「最低限のガイドライン」とは
電子カルテの三原則の中には、「最低限のガイドライン」というものがあります。
「真正性」・「見読性」・「保存性」それぞれの項目に最低限のガイドラインが決められていて、制度上の要求を満たすために最低限実施すべき事項が書かれています。
基本的な内容になっていますので、電子カルテを導入する際は、最新版の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の最低限のガイドラインは必ず確認しておきましょう。
「3省2ガイドライン」とは
電子カルテが守るべきガイドラインは、今回紹介した厚生労働省による「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の他にも、経済産業省・総務省が発行するガイドラインがあります。
厚生労働省・経済産業省・総務省の3省が発行する2つのガイドラインを指すため、「3省2ガイドライン」と呼ばれています。
具体的には、
- 厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
- 経済産業省・総務省の「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」
この2つが3省2ガイドラインです。
以前は総務省の「クラウドサービス事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」があったため、3省3ガイドラインと呼ばれていましたが、近年はクラウドサービスが前提となったため、2020年8月に経済産業省のガイドラインと1つに統合・改定されました。
経済産業省・総務省の「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」は、電子カルテを利用する医療関係者ではなく、電子カルテのサービスを提供する事業者及び団体向けのものとなっています。
MEDIBASEは3省2ガイドラインに準拠したクラウド型電子カルテ
電子カルテは、安全かつ適切に運用・管理するため、「電子保存の三原則」及び3省2ガイドラインに準拠した電子カルテを使用しなければなりません。
単に法令に従うということのみならず、自院が患者さんやその家族から信頼を得る点においても非常に重要なことです。
弊社は、電子保存の三原則はもちろん、3省2ガイドラインに準拠しているクラウド型電子カルテ「MEDIBASE」を提供しています。
ここからは、自由診療を行う診療所におすすめのMEDIBASEの紹介をいたします。
月額39,800円~利用可能
MEDIBASEは、使用されるパソコンやタブレットの台数を問わず、料金が変わらず、基本月額39,800円から利用が可能です。
真正性や保存性で挙げられていたバックアップも自動で行われるため、医院での手間はゼロ。情報は24時間365日有人監視されているデータセンターにあるため、システム障害も迅速に対応ができます。
従来のオンプレミス型はサーバー購入費用などの初期費用で数百万円かかるところ、クラウド型電子カルテMEDIBASEは初期費用は10万円で導入が可能です。
自由診療に特化した電子カルテ
MEDIBASEの最大の特徴は、自由診療に特化している点です。
現在他社ベンダーが提供している電子カルテは保険診療のものが多く、自由診療に特化している電子カルテは数が少ないため、選択肢が狭まってしまっていました。
MEDIBASEはクラウド型電子カルテの選択肢がなく、お困りの自由診療クリニック様への価値提供を行っています。
自由診療で必要な役務管理機能はもちろん、基本的な文書管理機能や画像管理機能などを搭載しており、直感的な操作を可能にした直接編集機能は特許を取得しております。
是非この機会にMEDIBASEの導入をご検討ください。
まとめ
今回は、電子保存の三原則についてご紹介いたしました。
電子カルテを導入する際は価格や機能はもちろん、今回お伝えした電子保存の三原則を遵守出来ているかどうかや、電子カルテの運用体制の整備を行うことも重要です。
電子保存の三原則が記載されている「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は時代の変化とともに定期的に見直されています。常に最新版を確認し、安心・安全に電子カルテを導入できるよう、心がけていきましょう。