クリニックの経営難の現状|赤字経営から抜け出すポイント

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医療機関は従来から経営難の傾向にありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、さらに経営の厳しさが増しています。この厳しい状況を、回避する方法を模索しているクリニックも少なくないでしょう。

そこでこの記事では、クリニックの経営難の現状や赤字経営から抜け出すための経費削減のノウハウや集患の施策について具体的に解説しています。

クリニックの経営難の現状

新型コロナウイルスの感染拡大により、引き続きクリニックなどの医療機関では厳しい経営状況が続いています。

厚生労働省による「医療施設動態調査」では、病床なしの個人開設のクリニックの医療収益は、以下の表の通りです。

売上金額(千円)

令和元年度

88,212

令和2年度

82,148

 

金額の伸び率は-6.9%と、減少の傾向が見られます。

売上金額の減少の理由としては、新型コロナの感染を避けるため、多くの患者が受診を控えたことがあげられます。

また、東京商工リサーチの調査では、2021年の診療所の倒産は22件で、前年の2倍に急増したことが分かっています。新型コロナ関連の倒産は11件と半数を占めており、コロナ禍で診療所の経営が難しくなっていることが分かります。

今後もコロナウイルスの新たな変異株の出現や今後の感染状況によっては、診療所は更に経営が悪化することも考えられます。

参考:厚生労働省医療経済実態調査(医療機関等調査)

参考:東京商工リサーチ「診療所」の倒産 コロナ禍の直撃で2倍増(2021年1-12月)

現在、全国で7割以上の病院が赤字

厚生労働省の「第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」 によると、2021年6月時点の一般病院全体の損益率をみると、4割を超える病院が赤字であることがわかります。

その中でも国公立の病院を見てみると7割以上が赤字です。国公立以外の医療法人でも3割程度が赤字であり、医療業界全体が厳しい経営状況にあります。

新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年6月には、国公立病院は9割ほどの病院が赤字に傾いていたため現在は改善の傾向があるものの、経営的に厳しい状況に変わりはありません。

参考:第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告

コロナウイルスにより状況も悪化している

従来から医療業界は、厳しい経営環境におかれていましたが、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大により、さらに状況が悪化しています。

「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況の調査」によると、2020年11月時点の赤字病院の割合は42.2%。特に、コロナ患者を受け入れた病院で赤字傾向であることが明らかになっています。

そして今なお、コロナウイルスの感染拡大は世界中で留まることを知りません。日本国内においては感染症法上の位置づけが2類相当であり、医療機関の体力的・経済的な負担はなかなか減らないのが現実です。

クリニックが経営難に陥る原因

クリニックが経営難に陥る原因はいくつか考えられます。

まずはクリニックのコスト構造を大きく占める人件費です。とはいえ、経営する上で、スタッフは重要な人的リソースです

経営に大きく関わる要素であり、よく考えて対応しなければならないコスト項目です。

また、現在、経営に悪影響を与えているもう一つの原因は新型コロナウイルスです。ここでは経営悪化の原因となる人件費率と新型コロナウイルスの影響について説明していきます。

人件費率が高い

経営難に陥ってしまう原因の1つに人件費率の高さがあります。

人件費率とは、売上高に対してどの程度人件費がかかっているのかを示す指標です。コスト削減を考えるうえでも重要なデータです。

令和元年度(2019年)の医療施設経営安定化推進事業の報告では、経営の主体が自治体である一般病院の人件費率は61.3%、医療法人は56.7%と、自治体のほうが人件費率が高くなっています。

コロナ禍の影響

ここ2~3年、新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関の経営難は拡大しています。

コロナ患者の受け入れ状況による医業収支を比較すると、2021年3月の時点でコロナ患者の受け入れなしの病院は、全体の36.1%が赤字になっていますが、受入ありの病院は全体の62.2%もの病院が赤字であることが分かっています。

このようにコロナ禍においては、コロナ患者を受け入れた病院の方が赤字の傾向を示しています。

コロナ患者を受け入れることで、患者1人に対する医療従事者の人数確保が必要になり、人件費率も高くなっていることが予測されます。

参考:医療施設経営安定化推進事業 平成30年度病院経営管理表

赤字経営から抜け出すためのポイント

コロナ禍の影響により、医療機関は苦しい経営状況であることが分かりました。

では、赤字経営から抜け出すためには、どのようなポイントがあるのでしょうか、

今回はクリニックで主に検討すべき

  • 人件費の削減
  • 適正な人件費の算出
  • 集患

の3つについて紹介いたします。

業務効率化を図って余分な人件費の削減をする

経営においてスタッフは最も大切な人的リソースです。ただ単に給料やボーナスをカットしたり、人員を減らすことで、安易に人件費の削減を行ってはいけません。スタッフのモチベーションが下がり、医療の質が下がる・離職者が増えるなどの新たな問題を生み出しかねません。

まずは、業務の効率化を図りましょう。全体の業務効率を上げることで、人手不足や余分な残業が解消され、人件費の削減につなげることができるでしょう。

適正な人件費を算出する

人手が不足しているからと言って、医業収益と人件費のバランスを考慮せずに採用を増やしていくと、人件費率がどんどん高くなってしまい、赤字を拡大してしまう可能性が高いです。

黒字病院は赤字病院に比べて、スタッフ1人当たりの人件費が低く、医業収益は高い傾向にあります。このため、赤字の病院については人件費が適正であるかどうかを検討・改善する余地があると考えられます。繁忙期・閑散期の時期に合わせて採用を調整するなどの対策で、人件費を適正化すると良いでしょう。

集患対策を行う

医療機関は医療を提供する立場であるため、経営効率を最優先するわけにはいかないでしょう。そんな中でも、収益を増やすためには集患対策を講じる必要があります。

まずは自院の診療の特徴や患者層、地域分析をもとに、求められているニーズを把握し、必要に応じてクリニックの体制や機能転換をすることで、来院患者を増やすことができるでしょう。

また、患者に向き合う姿勢も重要です。「患者の目を見て話す」「患者の訴えをしっかり聞く」など真摯な姿勢は、良い口コミになって集患に繋げることができます。

クリニックの経費削減のため取り組むべき項目

クリニックの経営難を回復させるためには、経費削減への取り組みが必須です。

削減する際には、「変動費」「固定費」の2つの項目に分けて検討すると良いでしょう。

変動費は、売り上げの増減に比例して変動する費用です。そして固定費は、売上高に関わらず、ほぼ毎月定額がかかる費用の事です。

ここではこの2つの経費の改善について解説します。

変動費を改善する

会計上の分類では、「医薬品費」「医療材料費」「患者給食材料費」などが、変動費に含まれます。

医薬品費や医療材料費は、単価の適正化を意識すると良いでしょう。長年、同じ医療卸業者と取引をしていると、価格交渉が行われないまま、市場価格よりも高額で購入していることがあるので確認すべき項目です。

また、過剰在庫・使用期限切れによる廃棄など、材料の価格以外でも改善の余地はあります。必要な適正在庫数を把握し、発注の頻度やタイミングを見直しましょう。

固定費を改善する

医療機関は、固定費の割合が8割程度と高いため、「固定費型」の業種といわれます。固定費には、「給与費」「減価償却費」「賃貸料」「光熱費」などが含まれます。

中でも「給与費」を含む人件費が、コストの50%以上を占めることが多いため、これを見直すことも大切です。業務の効率化を図ることで、新たな人員を採用することなく経営を維持できます。また、単価の高い非常勤医師の採用等についても対策をとる必要があるでしょう。

クラウド型電子カルテで経費削減を

クリニックの経営難を解消したい、売上アップを目指したい場合には、業務効率化のツールとして効果的なクラウド型電子カルテがおすすめです。電子カルテを導入することで、紙カルテで起こりがちな業務の非効率を改善することができます。

ここでは、経費削減につながるクラウド型電子カルテの特徴についてご紹介します。

オンプレミス型より経費を削減できる

電子カルテシステムにはオンプレミス型とクラウド型の2種類があります。オンプレミス型は、情報を保存するサーバーやコンピューターをつなぐローカルネットワークなどを設置するので、初期費用が300〜500万円ほどかかるといわれています。

一方クラウド型は、インターネットを介してクラウド上のサーバーにカルテデータが保存されます。サーバーやネットワーク環境を整備する必要がないので、初期費用は10万円程度で、月額料金も数万円と低価格です。経費を削減したい場合にはクラウド型電子カルテの導入をおすすめします。

業務効率を上げて人件費を削減できる

紙カルテには、「同時に閲覧・記録ができない」「字が読みにくく、判別に時間がかかる」など業務効率を妨げるデメリットがありますが、電子カルテにはこのような問題に対応できるメリットがあります。

電子カルテはパソコンがあれば、複数人が同時に同じ患者のカルテを使用することができるため、リアルタイムで情報を共有できます。また、パソコンでの記録なので紙カルテで起こり得る、読みにくさが生じません。

このように業務効率を上げることで残業が少なくなるなど、余分な人件費の削減につなげることができるでしょう。

自由診療の電子カルテならMEDIBASEへ

「MEDIBASE」は自由診療に特化したクラウド型の電子カルテです。

クラウド型なので、インターネット環境があれば、院内・院外問わずカルテを閲覧できます。

カルテの画面はシンプルで、初めての方でも簡単に操作できる設計となっています。

収益分析や患者数統計などを、グラフにして可視化することができ、クリニックの経営にも役立てられます。利用料金は月額39,800円とコストを抑えられるのも特徴です。

クリニックの経営難を乗り越えるための業務改善ツールをお探しであれば、まずは一度ご相談ください。