クリニック経営を成功させるには?赤字にさせないポイント

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近年新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、医療機関の経営の悪化が進んでいます。そんな中、クリニックの経営について、改めて考えている院長や経営者の方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、クリニック経営を成功させるためのポイントについて解説します。患者満足度を上げる方法や、スタッフの定着率のアップ、経営を黒字化する方法についても説明していますので、ぜひ最後までご覧ください。

クリニック経営の実態

厚生労働省による「医療施設動態調査」では、病床なしの個人開設のクリニックの医療収益は、以下の表の通りです。

売上金額(千円)

令和元年度

88,212

令和2年度

82,148

金額の伸び率は-6.9%と、減少の傾向が見られます。

売上金額の減少の理由としては、新型コロナの感染を避けるため、多くの患者が受診を控えたことがあげられます。ワクチン接種や発熱外来を行うことで売上回復を目指しているクリニックも多いですが、まだコロナ前の水準に戻すためには経営努力が必要になるでしょう。

参考:厚生労働省医療経済実態調査(医療機関等調査)

クリニック経営が失敗しがちなポイント・課題

経営が失敗してしまうクリニックには共通する傾向が見られます。

ポイント・課題は次の4点です。

  • 集患・集客がうまくいっていない
  • 患者のリピート率が低い
  • スタッフ・医師の業務が多い
  • スタッフの定着率が低い

経営を改善するためには、これらのポイントが自院に当てはまらないか、現状の見直しが必要です。

集患がうまくいっていない

クリニックの経営を成功させるためには、集患が最も重要です。

集患の主な方法として、広告があげられます。その代表的なものとして、チラシの配布や看板の設置などのオフライン広告や、ホームページの作成やWeb掲載などのオンライン広告があります。

ただし、やみくもに宣伝しても、効果は期待できません。自院の診療の特徴を踏まえ、地域分析を行うことで効果的な宣伝をすることが集患には必要です。

患者のリピート率が低い

新規患者の集患も重要ですが、安定的な経営をするためには再来患者数を維持・増加させることもまた重要です。

マーケティング分野の「1:5の法則」では、新規顧客の獲得には既存顧客の5倍のコストがかかるといわれています。

クリニックで新規患者を獲得するためには、ホームページやオンライン広告の掲載、看板設置やチラシ配布などのコストがかかります

しかし既存患者に対し、適切な診療やケアを行うことで、再来を促すことができれば、ほとんどコストはかかりません。

つまり患者のリピート率が低いと、集患のコストパフォーマンスが悪くなり、経営状態にも悪影響を与えてしまいます。

スタッフ・医師の業務が多い

大きな医療施設ではスタッフ数が多く、専門の職種を雇用しているため、業務分担が明確なケースがほとんどです。しかしクリニックや診療所では、1人のスタッフがさまざまな業務を兼任していることもあるでしょう。

また、紙カルテを運用している場合は、医療事務員や看護師がカルテを探し、診察室に運ぶといった時間・手間が生じてしまいます。紙カルテは患者1人に対して一部なので、診察中他のスタッフは、閲覧や記録ができず、その結果、事務手続きも遅くなり、患者の待ち時間が長くなりがちです。

また、忙しさから患者に対する診療やケアがおろそかになると、患者からの評価や口コミに悪影響をもたらし集患を妨げてしまいます。

スタッフの定着率が低い

勤務医時代には、あまり気にならないことではありますが、スタッフの定着率も医療施設経営に大きく影響します。

スタッフが定着しないと、その度に何度も採用や育成を繰り返さなければなりません。人間関係の構築も含め、求人のために時間と労力を奪われてしまいます。

さらに患者への影響も多大です。特に、新人スタッフの出入りが激しい場合は、業務に不慣れな分、時間がかかり患者の待ち時間も増えてしまいます。また、スタッフの入れ替わりが激しいこと自体が印象の良いものではないので、患者の定着も妨げかねません。

クリニック経営を成功させるポイント

医療施設では、患者に寄り添いながら医療サービスを提供することが基本ですが、経営を成り立たせるための視点も必要です。

クリニック経営を成功させるためのポイントは次の3つです。

  • 顧客満足度を上げる
  • 競合との差別化を図る
  • 円滑な組織作りを行う

これら3つのポイントに着目し、戦略的に取り組むことで、クリニック経営を成功に導くことができるでしょう。

顧客満足度を上げる

まずは顧客である患者の満足度を上げることが大切です。患者の満足度があがれば、リピート率の向上にもつながります。

さらに、満足度が高まることで患者が良い口コミを投稿し、クリニックの評判が良くなることが期待できます。

どのクリニックを受診しようか迷っている患者にとって、実際の利用者の口コミは受診を決断する重要な情報の1つです。自院で出した看板やチラシ、ホームページの情報に比べて、新規患者の獲得にも効果的です。コストも全くかからず信頼度も高まるでしょう。

競合との差別化を図る

競合との差別化を戦略的に考えるためには「差別化の8要素」を検討することが大事といわれています。

8つの要素とは、

  • ①立地
  • ②規模
  • ③ストアロイヤリティ
  • ④商品力(治療科目・診察など)
  • ⑤価格力
  • ⑥接遇力(接客)
  • ⑦販促力(情報発信)
  • ⑧固定客化力(再診)

①~③までは開業時に徹底して検討すべき要素、そして④~⑧は開業後に検討する要素です。

同じ地域の競合が取り扱っていない治療を取り入れる、競合に対して優位性のある価格設定をする(自由診療の場合)、接客力をアップするなど、日々努力しなければ競争には打ち勝てません。

円滑な組織作りを行う

スタッフマネジメントを行い、円滑な組織作りを行うことも経営には不可欠です。

スタッフマネジメントを怠ると、「院長のビジョンや方針が伝わらない」「スタッフの気持ちや状況が院長に伝わらない」「個人本位な暗黙ルールができ、スタッフの人間関係が悪化する」「悪い空気が流れ、患者数が減少する」といった状況に陥ります。

このため定期的に面談を行うなど、スタッフとのコミュニケーションを取ることが大切です。そして、業務について明確な基準を設けることで、スタッフ間の不公平感も生まれません。経験が長くなると強気のスタッフもいますが、経営者は時に毅然とした態度で組織としての方向性を示す必要があります。

顧客満足度を上げる方法

顧客満足度を上げるためには、患者にこの病院で診てもらいたいと思われるような医療の提供が重要です。さらに予約が取りやすい、待ち時間が短いなど、患者にとってのメリットが大きいサービスを提供する必要があります。

具体的には、

  • 患者の顔を見て話す
  • オンライン予約に対応する
  • 電子カルテで業務の効率化を図る
  • 会計システムやオンライン決済に対応する

です。

しかし、顧客満足度向上のために尽力しても、時には患者から不満やクレームを受けることがあります。このような患者の声に真摯に対応し改善することで顧客満足度をあげ、結果、経営に反映することができるでしょう。

患者の顔を見て話す

令和2年の厚生労働省による受療行動調査では、「診察時間」に不満を持つ患者が23.9%と、他の項目に比べると高い割合です。

同時に、スタッフの対応関係の項目で不満の割合が高いものに、「医師との対話(6.1%)」があげられます。

診察において、患者との信頼関係の構築のために、顔を見て話すことは基本であり、重要な要素なので、医師やスタッフをはじめ、クリニック全体での取り組みが必要でしょう。

参考:令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況

オンライン予約に対応する

電話予約の場合、受付は診療時間内に限られますが、オンライン予約システムは、パソコンやスマートフォンなどの端末から、専用フォームに入力することで予約を取ることができます。24時間対応しているものもあるので、患者は時間や場所を気にせず、いつでも予約を取ることができます。仕事で日中忙しく電話予約がしづらい方の獲得にもつながるでしょう。

また、受診当日も診療までの目安時間や混雑状況を確認できるので、待合室で何時間も待つことなく、患者の負担は軽減されます。

電子カルテで業務効率化をはかる

スタッフや医師の業務の多さは、クリニック経営を失敗する要因の1つでした。

電子カルテを導入することで、紙カルテによる業務の非効率を解消できます。カルテを探す時間や診察室に運ぶ手間は軽減され、記録も同時進行で行われるので、大幅な時間短縮になります。

紹介状や診断書などのテンプレートが揃っているため、医師の書類作成も手書きに比べるとかなり簡単になります。

また、患者の診察時には、画像を見せながら説明するなど、より患者への丁寧な診察やケアが可能となります

会計システムやオンライン決済に対応する

電子カルテを会計システムと連携させると、受付、診療、会計までを一元管理できます。新規患者の情報登録や会計作業など、1つ1つの事務作業がスムーズになるので、業務を効率化できるだけでなく、患者の待ち時間の短縮にもつながるでしょう。

また、キャッシュレス化が進む現在、インターネットを通じて決済処理を行う、オンライン決済にも対応することが望ましいでしょう。クレジットカード決済、キャリア決済、電子マネー決済などがあります。診療の特徴やターゲットとなる患者の年齢層などによって、対応できる決済方法を検討すると患者視線での会計システムを構築できるでしょう。

スタッフの定着率を上げる方法

スタッフの定着率の低さは、雇用条件や仕事内容、職場環境が大きく影響しています。医療施設を運営する仲間である意識を共有し、これらの改善とともに、円滑な組織づくりをする必要があります。

具体的な方法は以下の3つです。

  • 経営理念を設定する
  • 業務プロセスを仕組み化する
  • 業務の効率化ツールを導入する

これらについて解説していきます。

経営理念を設定する

経営理念とは、「開業を志すに至った想い(動機や目的)」です。経営理念は、院長だけでなくクリニックで働くスタッフ全員の行動指針にもなります。スタッフ間でしっかりと共有することが、クリニック運営には欠かせません。

本来、経営理念は開業当時に掲げるものですが、時代の変化とともに、クリニックの診療のあり方を見直さなければならない場合も出てきます。実際に、経営理念の変更や追加を行うクリニックもあります。どちらの場合も、クリニックのメンバーが一丸となって患者の安心・満足度を高めるための理念構築が大切になるでしょう。

業務プロセスを仕組み化する

業務プロセスとは、「目標を達成するまでの一連の業務の流れ」です。各職種の業務を仕組み化することで効率化を図り、経済的・時間的・人的なリソースの無駄を省くことができます。

スタッフの業務を分析してみると、そもそもマニュアル化されておらず、一人ひとりの裁量に任されていたり、経験や権限のあるスタッフによる暗黙のルールがまかり通っていたりすることがあります。

このような問題点を明確にし、マニュアルを作って仕組み化することで、患者への診察により時間を使うことができるようになるでしょう。

業務の効率化ツールを導入する

業務を効率化できるツールを導入することも、クリニック経営を成功に導くためには必要な投資です。その代表的なツールとしてとして、電子カルテがあります。

現在、紙カルテを運用しているクリニックでは、紙カルテの保管スペースの確保に苦労し、字の読みにくさによるミス、情報共有の遅さなど、業務上の課題を抱えているところもあるでしょう。

電子カルテであれば、保管スペースは不要かつ、複数人が同時に閲覧・記録することが可能なため、業務効率がアップするでしょう。

クリニック経営を黒字化する方法

クリニックの経営を黒字にするためには、現在の経営状態を分析しなければなりません。

黒字化に向けた具体的な方法は、

  • 経費の中身を確認する
  • 経費の無駄を探る
  • 採用のミスマッチをなくす

の3つです。

必要な経費を明確にし、無駄な経費を削減する必要があります。また、採用のミスマッチもスタッフの定着の妨げになるので、対策が必要になるでしょう。

経費の中身を確認する

まずはクリニックの運営にかかる経費の中身を確認しなければなりません。

実状を知らないままコスト削減に走るのではなく、自院の利益構造を確認して経営実態を把握しましょう。患者1人あたりの単価、原価率などを明確化しておくことも大切です。

そのうえで、各経費の中身を見直します。

クリニックの経費の内訳は人件費、一般経費(医療材料、設備費など)、経営戦略のための経費(広告・教育)など。

必要な経費、無駄な経費を洗い出していきましょう。

経費の無駄を探る

経費の中身を確認した後は、各種経費の無駄を探っていきます。

まずは人件費。スタッフが定着しないクリニックでは、採用や離職が繰り返されるため、採用コスト・人事労務管理費に無駄が生じがちです。

一般経費について、「材料費の相場が分からない」「患者数は多いがなかなか黒字に転換しない」という場合は、医療材料費に無駄が生じているケースがあります。項目が多く把握しきれない場合は、コンサルタントに依頼するのも効果的です。

経営戦略経費については、効果のある広告や宣伝がどんなものかを分析し、効果のない媒体を削除することで経費の無駄を削減できます。

採用のミスマッチをなくす

採用時のミスマッチは、早期離職や採用を繰り返す原因になり、コストがかさみます。そのため、採用方法や採用基準について見直す必要があるでしょう。同時に募集要項には、雇用条件や仕事内容について具体的に示し、自院の業務にマッチする人が応募できるような工夫も必要です。

とくに自由診療をメインで扱うクリニックの場合、自由診療のメリットを理解したうえで業務にあたらなければ、商品受注の増加は見込めません。採用時には、このような自院の経営の特徴とマッチする人材かどうか見極めることも大切な採用のポイントになるでしょう。

クリニック経営を効率化するならMEDIBASEへ

「MEDIBASE」は自由診療に特化した、クラウド型の電子カルテです。

多彩な機能を搭載し、紙カルテと同様に操作しやすい画面デザインが特徴で、日々の業務が効率的になります。

分院展開もできるので、本院での情報管理や、それぞれの院間での情報共有もスムーズに行うことができます。

電子カルテの導入を検討している自由診療のクリニックに、おすすめの電子カルテシステムです。

予約システムを利用できる

「MEDIBASE」は予約システムとの連携ができます。

連携することによって、患者自身がインターネット上で予約することが可能です。予約された情報は一括管理されるので、受付業務の負担も軽減できます。

患者の来院時の受付は、タッチパネルで簡単に完了するため、スタッフのカルテ操作も最小限ですみます。

また、LINEから簡単に予約がとれる機能もあるので空き時間に予約しやすく、患者にとっても便利な機能といえます。

手軽に予約できるので、新患や再来にに繋げる効果も期待できるでしょう。

スタッフの業務効率化が可能

電子カルテである「MEDIBASE」は、紙カルテのデメリットを補う機能が充実しています。例えば、データはインターネットを介してクラウド業者のサーバーに保存されます。このため、紙カルテのように保管スペースを確保する必要はなく、保管場所に取りに行く手間なども解消できます。また、診察券番号や患者氏名で検索ができるので、紙カルテのように探すために費やす時間も必要なくなるのです。

パソコンや端末があれば閲覧・記録できるので、複数人が同時に同一患者のカルテを扱うことが可能です。

クラウド型なのでコストを抑えられる

電子カルテにはオンプレミス型とクラウド型の2種類があります。オンプレミス型はサーバーの設置や院内ネットワークなどのシステムの設置に数百万円の初期費用が必要です。加えてシステム更新時にも高額な費用がかかります。

一方「MEDIBASE」はクラウド型の電子カルテで、サーバーの設置が必要ありません。このため初期費用は10万円程度、月額料金も39,800円からと低コストに抑えられます。パソコンなどの端末台数・利用人数については無制限なので、料金設定もお得です。

まとめ

クリニックの経営を成功させるためには、まずは自院の現状を多角的に分析することが大切です。経営に大きく影響する、対患者・対スタッフに関する課題を明確化する必要があります。

コストがかからず、すぐに取り組めることは、積極的に実践しましょう。「患者の顔を見て話す」「患者の訴えをしっかり聞く」などは、スタッフの誰もがすぐ実践できるうえ、患者満足度につながるとても大切な取り組みです

「MEDIBASE」は収入分析や患者数統計などをグラフにして可視化することもできます。これらのデータを分析して、クリニックの経営や運営に役立てることができるでしょう。

電子カルテをご検討の場合、まずは一度ご相談ください。