電子カルテの耐用年数は?クリニックのコストを抑える方法

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電子カルテの導入を検討する際、オンプレミス型とクラウド型のどちらかを選択する必要があります。

電子カルテは耐用年数に従って買い替えが必要になるので、耐用年数を知っておくことはクリニックのコストを抑えるためにも重要です。

この記事では、2種類の電子カルテの耐用年数と特徴を解説し、コストを抑える方法をお伝えします。

オンプレミス型電子カルテの耐用年数は?

耐用年数とは対象資産の「使用可能と見込まれる期間」のことです。

事業や、クリニックの開業における固定資産のうち、長期間の使用で価値が下がっていくものは、耐用年数に従い資産価値を差し引いて計上します。

耐用年数に応じて、各年度に配分して経費にすることを「減価償却」といい、各年度で経費にする分を「減価償却費」といいます。

それぞれの資産の耐用年数は、税法で決められています。ここでは、オンプレミス型電子カルテの耐用年数について解説します。

国税庁の耐用年数では5年とされている

国税庁では、電子カルテなどを含むソフトウェアを減価償却資産としています。

税法の定めでは電子カルテの耐用年数は5年とされており、オンプレミス型の電子カルテを導入した場合は、5年にわたって減価償却費として計上していくことができます。

買い付けに要した「取得価格」の計算方法は、該当する要件に従って計算しなければなりません。

購入した場合の取得価格の計算は、『購入代価+購入に要した費用の額+事業の用に供するために直接要した経費』の額で算出されます。

また、メーカーの保守期間も5年であることが多いので、オンプレミス型の場合はハードを5年間で買い替えを行う必要があります。

開業医の3割以上が買い替え費用に不満を感じている

オンプレミス型の電子カルテの場合、耐用年数である5年を過ぎると減価償却ができなくなります。また、メーカーの定める使用期間が5年となっていることもあり、法定耐用年数の5年を迎えるたびに、ソフトウェアを買い替える必要があります。

買い替えの際には、導入時と同等の500万円程度の費用が必要です。5年おきに高額な費用が必要なので、クリニックの経営に影響を与えかねません。

エムスリーデジカル株式会社の調査によると、開業医の3割以上が買い替え費用について不満を感じており、買い替えはクリニックの負担になっていることが伺えます。

クラウド型電子カルテは耐用年数がない

クラウド型電子カルテは、ソフトウェアをパソコン内にインストールせず、インターネットのWEBブラウザ上で利用します。

このため、クラウド型はソフトウェアの購入はしていないので、資産になりません。つまり、固定資産には計上されないということです。「消耗品費」「通信費」「雑費」などの勘定科目から、最も利用実態に合ったものを選択して、経費計上します。

ソフトウェアの導入に要した経費も、通常はすべて経費に計上して差し支えありません。

オンプレミス型とクラウド型の違い

オンプレミス型とクラウド型の大きな違いは、カルテデータを処理・保存するサーバーがどこに設置・管理されているかです。

オンプレミス型は、クリニック内にサーバーを設置して、院内のローカルネットワークで端末をつないで運用します。

一方、クラウド型はインターネットを介してクラウド事業者が管理するサーバーにカルテデータを保存します。

オンプレミス型のメリット

院内にサーバーを設置するオンプレミス型には、次のようなメリットがあります。

  • セキュリティーの高さ
  • カスタマイズの自由度が高い
  • 既存システムとの連携が可能

オンプレミス型は、院内にサーバーを設置してローカルネットワークを構築するため、外部に情報が漏洩するリスクは比較的低いといわれています。セキュリティーをより高めるには、使用する施設の管理体制を厳重に整えることが大切です。

また、院内にIT環境が構築されているので、カスタマイズの自由度が高いこともメリットです。診療科ごとに必要な設定も可能で、複数の診療科がある医療施設で役立ちます。

さらに、院内の既存システムと同じネットワーク内にシステム構築でき、連携が簡単です。

オンプレミス型のデメリット

オンプレミス型のデメリットは、主に次の3つです。

  • コストが高い
  • 導入までの期間が長い
  • 保守・メンテナンスの院内整備が必要

サーバーなどを購入する必要があり、初期費用が高額で500万円程かかると言われています。維持費も必要で、高いコストを理由に導入を見送るケースもあります。

導入までには機器の設置や人材の確保など数か月かかるため、すぐに導入したい場合は不向きでしょう。

電子カルテの保守は院内で行うため、管理体制を整える労力も負担になりがちです。

クラウド型のメリット

クラウド型のメリットは主に次のような内容です。

  • コストが抑えられる
  • メンテナンス・更新作業が不要
  • インターネットがあれば端末を選ばす利用可能

クラウド型の一番のメリットはコストの安さです。初期費用は10万円程度とオンプレミス型に比べ低価格です。コストが障壁になって導入を見送っている医療施設でも、クラウド型なら導入を検討できるでしょう。

そして、メンテナンスやシステム更新作業は、クラウドサーバー事業者が行うため、医療施設には負担がかかりません。

クラウド型はインターネットさえあれば、端末を選ばずカルテを利用できます。訪問診療などの在宅医療領域にも有効ですし、学会などの出先でもカルテ情報をチェックでき便利です。

クラウド型のデメリット

クラウド型のデメリットは、主に次の2つです。

  • カスタマイズの自由度が低い
  • インターネット環境がなければ利用できない

クラウド型は、ベンダーが提供するオプション以外のカスタマイズは基本的にはできません。ただし基本的な機能は備えているので、細かい設定が必要なければ問題ないでしょう。

またインターネットに接続できなければ、サーバーにアクセスできずカルテデータを読み込めない点もデメリットです。障害に強く、バックアップが取れる製品を選ぶと安心です。

クラウド型電子カルテに変えるだけでコストカットが可能

クラウド型の最大の魅力は、コストを抑えられるところです。初期費用は約10万円程度で、月額の利用料金も数万円程度です。オンプレミス型と違って、システム更新に費用がかからないので、長期的に見てもコストカットでき、クリニックの経営にも有利にといえるでしょう。

利用できる補助金事業もあるので、上手に活用すると更に経費削減を目指せます。

導入にはIT導入補助金が利用可能

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の業務効率化や課題解決のためのITツール導入の経費を、一部補助してくれる事業です。電子カルテも対象になっており、クリニックなどの医療施設も利用できます。

電子カルテの導入で申請できるのは「通常枠」で、補助金の交付が決定すれば、導入に必要な費用の二分の一(30万~150万円未満)を補助金として受け取ることができます。

2022年分はすでに受付が開始されているので、期限を確認して申請を急ぐ必要があります。

ベンダーによっては移行も依頼できる

現在オンプレミス型を利用している場合でも、クラウド型に移行できます。

電子カルテの移行で最も気になるのは、「カルテデータの移行」でしょう。

診療録は5年の保管義務があるので、データは確実に残さなければなりません。一般的には古い電子カルテ端末を確認用として残す、PDF化するという2パターンで対応されています。ただし電子カルテベンダーによっては、電子カルテ間のデータ移行を依頼できるので、担当者に相談をしてみましょう。

5年間の総コストで比較検討することがおすすめ

オンプレミス型の電子カルテは5年ごとのシステム更新が必要になります。このため、5年を1つの区切りにし、オンプレミス型、クラウド型の電子カルテの総コストを比較検討すると、コスト削減のヒントになります。

総コストは、初期費用と月額利用料、保守費用などランニングコストを併せたものです。自院の利用人数や、分院展開などの予定を加味して算出する必要があります。

コストを抑えるためには、最低限必要な機能を、明確にしておくことも重要です。

自由診療に特化したクラウド型電子カルテならMEDIBASE

MEDIBASEはクラウド型電子カルテなので耐用年数はありません。

システム更新が不要で、長期的に見た時にコストカットにつながります。さらに台数、人数無制限で月額39,800円から利用可能で、クリニックの拡大を目指す場合もコストがかさむことはありません。

基本的な機能のほかに、自由診療の管理に役立つ、役務管理・収入分析などの機能が豊富です。

IT導入支援事業者ですので、電子カルテの導入・移行をご検討の場合は、ぜひご相談ください。