クリニックの患者数の平均は?何人くれば黒字?患者数を増やすためのコツ

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クリニック経営に携わる方の中には、1日にどのくらいの来院があれば経営を安定させられるのかを知りたい方も多いのではないでしょうか。今回の記事では、クリニックの患者数の平均をお伝えし、どのぐらいの来院者数で黒字経営できるのかをお伝えします。また、患者数を増やすためのコツもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧下さい。

クリニックの1日の平均患者数は?

独立行政法人福祉医療機構 による 2020 年度(令和 2 年度)病院・診療所の経営状況(速報) によると、それぞれの診療科目での1日の平均外来患者数は以下のようになります。

診療科目

施設数

外来診療日数(日)

1日の平均外来患者数(人)

全体

910

258

45.6

内科

262

262

38.2

整形外科

263

263

75.5

小児科

256

256

42.7

皮膚科

250

250

58.7

耳鼻咽喉科

251

251

53.3

 

診療科目の特性もあるため、診療科目によっては大きくばらつきがありますが、一般的な目安となる1日の平均外来患者数は40人程度とされています。

患者数と収入の関係

こちらも先程ご紹介した独立行政法人福祉医療機構 による2020 年 個人立の一般診療所(無床)および歯科診療所の経営状況(速報)によると、診療科目ごとの外来患者 1 人 1 日当たりの収益額と1日の平均外来患者数は以下のようになります。

 

診療科目

外来患者 1 人 1 日当たりの収益額(円)

1日の平均外来患者数(人)

全体

7525

45.6

内科

8337

38.2

整形外科

5499

75.5

小児科

8470

42.7

皮膚科

5738

58.7

耳鼻咽喉科

5210

53.3

 

上記を参考に、例えば、月23日診療を行っているとしたときの内科での売上は

38.2人×8337円×23日×12カ月=87,898,658円

と計算でき、年間で約8800万円の売上になります。

ここから、スタッフが3人、家賃が年間500万円、その他の費用合計が約4,000万円かかるとすると、医師の年収は3,000万円前後となることが予想されます。

もし、ここから患者数が5人増えるとすると

43人×8337円×23日×12カ月=98,943,516円

となり、先ほどと比べると1,100万円程度の売上アップに繋がります。

5人程度の増加であれば人件費を増やす必要もなく家賃や水道光熱費も変わらないため、売上アップ=収入アップと考えても良いでしょう。

クリニック経営におけるリピート率の重要性

経営において大切なのは、新規の患者数を増やすだけでなく、既存患者の定着を図りリピート率を高めることが極めて重要です。

マーケティング用語に「1:5の法則」、「5:25の法則」というものがあります。

「1:5の法則」とは、新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかるという法則です。つまり、クリニックに当てはめると、新規患者と既存の患者で同額の売上となった場合でも、新規顧客から売り上げる方がコストが高くなるため、その分の利益率が低くなるということです。

また、5:25の法則とは、顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善されるという法則です。

こちらもクリニックに当てはめると、1:5の法則の通り既存患者は売上にかかるコストが低いため、既存患者のリピート率を5%アップするだけでも大きな収益アップが見込めます。

そのため、新規患者獲得へ注力するよりも、既存患者をいかに手放さないかに力を入れる方が収益を上げやすいといえるでしょう。

クリニック経営を始めたときに必要な患者数は?

クリニックの経営には様々な経費が掛かります。第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告 (令和3年)によると、内科での1年あたりの経費は

内科での1年間の経費

金額(千円)

給与費

19,011

医薬品費

12,339

材料費

1,869

減価償却費

3,279

設備機器賃借料

1,124

医療機器賃借料

804

合計

38,426

 

合計で約3,800万円超の経費が掛かります。外来患者 1 人 1 日当たりの収益額(円)が8300円だとすると月23日診療を行っている場合、経費を売上で賄うには

38,426,000(円)/ 8,300(円 / 人)/ 23(日)/ 12(月)= 16.77(人)/ 日

となり、内科クリニックでは1日あたり最低でも17人以上の患者数が必要と考えられます。

また、経費はこれらに加えて、開業時の借金返済に充てるお金等、他にも必要となる場合もあるため注意が必要です。

患者数は開業エリアにも大きく影響されます。以下では開業エリアのリサーチ方法について解説していきます。

開業エリアのリサーチ方法

クリニックの経営は開業エリアに大きく左右されます。クリニックを開業する際には、クリニックのコンセプトで患者さんを多く集められる場所、他院に勝てる場所を探さなければなりません。

そのため、目ぼしいエリアの

  • 人口
  • 人の動き
  • 年齢構成
  • 交通機関の状況
  • 競合となる医院の数
  • 競合となる医院の評価

等を調査することが重要になります。

調査には日本医師会のJMAP(地域医療情報システム)を使うと便利です。

例えば、JMAPを使うことで各都道府県の

  • 将来推計人口
  • 診療科目ごとの施設数
  • 医療介護需要予測指数

等を調べることができます。開業エリア選定の際には確認しておくとよいでしょう。

患者数が少ない原因とは?

クリニックを開業しても患者数が増えない場合、経営危機に陥る可能性もあります。患者数が増加しない原因として以下の3つが考えられます。

  • 立地が良くない
  • 広告活動ができていない
  • 口コミ数が少ない・悪い口コミがある

以下で詳しく説明していきます。

立地が良くない

先ほど挙げた開業エリアのリサーチ不足によるエリア選定ミスです。立地が良くないと患者数が思ったよりも伸びないことに繋がります。また、エリア選定のミスがわかっても、開業後はエリア変更することは容易ではありません。

良い立地で開業するためにも、開業エリアのリサーチの段階で

  • 自身のクリニックが必要とされるエリア
  • 競合が少ない、もしくは強くないエリア
  • 人通りが多く、認知されやすいエリア

を調べて、納得してから決めるようにしましょう。

広告活動ができていない

見込み患者にクリニックが周知されていない、もしくは、周知はされているがクリニックの良さが伝わっていない場合も患者数の伸び悩みが生じる原因の一つです。これらの場合は、開業エリアに競合が多い場合もあり、広告活動を行う必要があります。広告活動には、ポスティングやインターネット広告、ホームページの作成等があります。詳しくは、後述する「患者数を増やすための方法とは」で説明しますので読み進めてください。

口コミ数が少ない・悪い口コミがある

SNSやポータルサイトの広がりで、誰でも手軽に口コミを書き込めるようになり、口コミを参考にしてクリニックを選ぶ方も多いです。

口コミを見てクリニックを選ぶ際には、口コミ数が少ないとどのようなクリニックかが分からず避けられる可能性があります。また、悪い口コミがあるとそれが間違った情報であっても、患者さんが鵜呑みにして来院しないこともあります。口コミの投稿を積極的に依頼するとともに、間違った情報にはサイト側へ訂正を依頼しましょう。

患者数を増やすための方法とは

患者数が少ない原因がわかったところで、ここからは患者数を増やすための方法を考えていきましょう。

  • ホームページの作成をする
  • Googleマイビジネスへの登録
  • SNSで発信をする
  • ポータルサイトに登録する

以上の4つを解説します。

ホームページの作成をする

現在はスマートフォンの普及により、誰でもどこでもインターネットでクリニックを検索することができるようになりました。そのため、クリニックのホームページを充実させることで、クリニックについて知ってもらうことができ、患者数の増加を見込むことができます。

また、スマートフォンをほとんどの方が使用しているため、画面の大きさに合わせて適切な表示に変更してくれる「レスポンシブデザイン」のホームページにすることをおすすめします。レスポンシブデザインにすることで、パソコンやスマートフォン、タブレットのどちらからでも見やすく表示されます。

Googleマイビジネスへの登録

 

一般的に「Googleマイビジネス」と呼ばれる「Googleビジネスプロフィール」は、Googleマップ上に店舗情報を無料で掲載できるサービスです。受診したい方がクリニックを検索すると、登録したクリニックがGoogleマップ上に表示されるため、集客しやすくなります。

しかし、Googleアカウントを持っていれば誰でも口コミやレビューを投稿できてしまうため、誤情報や低評価、嫌がらせの口コミ等が掲載され、クリニックにとってマイナスになることもあるため注意が必要です。

SNSで発信をする

TwitterやInstagram等、SNS(ソーシャルネットワークサービス)による集客方法も多くのクリニックで活用されています。特に若い世代ではSNSを利用している割合が非常に高く、情報を伝える効果的な手段となります。

例えば、Twitterであればユーザーは情報収集に活用している場合が多く、臨時の休診などのお知らせを投稿することでお知らせできます。また、Instagramでは写真の投稿が主になるので、クリニックの雰囲気を伝えやすくなります。

どのような情報を伝えたいかによって、SNSを選択するとよいでしょう。

ポータルサイトに登録する

クリニックを掲載できるポータルサイトでは、利用者はエリアや駅、名称等の条件を指定することで、条件に合ったクリニックを検索できます。ポータルサイトに登録することで、検索した患者さんの来院に繋がります。手軽に目的の病院が見つけられるため、利用者は多い一方、ポータルサイトには多くの医療機関が登録しており、競合は多いです。

ポータルサイトへの登録費用は、無料のサイトから費用が掛かるものまで様々です。それぞれのポータブルサイトへ登録するメリットと広告費用とを考慮した上で決める必要があります。

まとめ

クリニック経営における来院患者数は、経営状態を知る上での有効な目安になります。クリニックを経営するには、非常に多額の経費がかかります。自身のクリニックに合った患者数を増やすための方法を取り入れて、余裕のあるクリニック経営をしていきましょう。

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