音声入力で電子カルテに記入できる?音声入力の活用方法や現状について
電子カルテの導入によって、「患者とのコミュニケーションが取りづらい」「キーボード操作に慣れず、紙カルテの方が早く作業ができた」という課題が残るクリニックも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、音声によって電子カルテの記載はできるのか、音声入力の利用方法についてご紹介いたします。
目次
電子カルテの音声入力活用の現状
電子カルテの技術の進歩は日々進んでおり、最近では電子カルテを音声入力ソフトを活用し記入することが増えてきています。
ここでは、電子カルテの音声入力活用の現状についてご紹介いたします。
どのようなシーンで利用されることが多い?
カルテの音声入力は、放射線部門での活用が多くなっています。放射線部門は1日の撮影件数が増えている中で、読影医のレポート作成の負担が大きいため、正確で効率的なレポート作成のために音声入力が利用されています。
また、パソコンに座って診察するのが難しい在宅医療などでも活用されています。
音声入力が向いていない場面
音声入力は、主に1人でマイクに向かって喋ることができる場面で利用がしやすくなっています。そのため、医師と患者が2人で会話している場合や他の環境音がしている場合などは音声入力の精度が下がってしまいます。
AIを利用することで、患者と医師の会話の聞き分けなどが可能になりますが、現在導入ができるAI音声入力ソフトは少なくなっています。
電子カルテの音声入力機能はある?
電子カルテ自体に音声入力機能が搭載されているものは少なく、電子カルテと音声入力ソフトを連携させることで音声入力をしていることが多いようです。
現在、音声入力機能がついた電子カルテは増えてきています。技術の発展により電子カルテに音声入力機能がついているものがスタンダードになる可能性もあるでしょう。
電子カルテを音声入力するメリット
では、電子カルテを音声入力で記載するメリットについてご紹介いたします。
電子カルテを音声入力する主なメリットは以下の3つです。
- 患者の目を見て診察をすることができる
- キーボード入力に慣れていなくても利用できる
- 移動の合間にカルテが書けるようになる
それぞれ詳しく確認していきましょう。
患者の目を見て診察をすることができる
音声入力で電子カルテを記載することによって、キーボードやパソコンのディスプレイを確認することなく、カルテの記載をすることができます。そのため、患者の目を見て診察をすることができるため、患者の不安解消や顧客満足度の向上にも役立つでしょう。
キーボード入力に慣れていなくても利用できる
電子カルテの導入からまだ日が浅い場合や、キーボード入力が苦手な方でも、音声入力なら素早く記載をすることができます。
医療のDX化が進む中、電子カルテの導入はますます進んでいく中、キーボードでの文字入力が苦手、患者と向き合って診察がしたいなどの理由で電子カルテの導入に踏み切れない方も多いでしょう。
音声入力を使用することによって、そういった不満を払拭し、電子カルテをスムーズに利用できることもあるでしょう。
移動の合間にカルテが書けるようになる
訪問医療などで医師が移動をする場合や、施設内を移動する場合でも、移動の合間にカルテを記入することが可能になります。
音声入力を利用することによって、リアルタイムでの電子カルテの記録を可能にし、車の中で画面を操作する際に車酔いをしてしまうなどの問題も解決することができます。
音声入力を利用する方法
では、実際に音声入力を使用して電子カルテの記載をする方法についてご紹介いたします。
音声入力を利用する方法は、主に以下の3つです。
- 音声入力ソフトを使用する
- Googlechromeのプラグインを使用する
- PCに標準搭載されている音声入力機能を使用する
詳しい方法について、以下でご紹介いたします。
音声入力ソフトを使用する
音声入力によって電子カルテを記載する場合、医療の現場でよく利用されてきている、音声入力ソフトを使用するのが主流となっています。
有名な音声入力ソフトとして、
- AmiVoice(アミボイス)
- kanata
- メルプWEB問診
などがあげられます。現在利用している電子カルテと連携が可能であれば、すぐに利用することができますので、一番おすすめの導入方法です。
料金は初期費用が3万円~、月額料金が1万円~3万円程で導入が可能です。買い切りのものであれば、10万円~15万円ほどが相場となっています。
Googlechromeのプラグインを使用する
ブラウザで電子カルテを利用している場合には、ブラウザをGooglechromeにすることで音声入力のプラグインを利用することができます。
「VoiceIn」というプラグインは無料で利用できるGooglechromeの音声入力用プラグインです。
改行や句読点を登録する必要がありますが、音声入力の精度は高く、よく利用する単語をキーボードと同じように単語登録することによって、よりスムーズに入力が可能になるでしょう。
PCに標準搭載されている音声入力機能を使用する
利用しているPCによっては、標準装備で音声入力機能が搭載されていることもあります。
Windows11では、Windowsロゴキー + Hキーを押すことによって音声入力を有効にすることができます。
macOS Catalina 以降のAppleのPCでは、Appleメニューからシステム環境設定→アクセシビリティをクリックし、サイドバーで「音声コントロール」をクリック、音声コントロールを有効にするを選択することによって、音声入力を有効にすることができます。
PCに標準装備されている機能なら、無料で手軽に試すことができますので、導入を迷われている方は是非利用してみてください。
まとめ
音声入力の技術は年々進歩しているため、電子カルテと連携が可能な音声入力ツールは次々登場することが予想されます。
もちろん、無料のツールでも充分に利用可能な場合もありますので、音声入力のツールを検討されている場合には、一度使用感を試してみるのも1つの手段です。